中東向けの鶏肉調製品の輸出が再開


◇絵でみる需給動向◇


2007年第3四半期までの生産量はかなりの程度増加、価格も好調に推移

 タイ農業・協同組合省(MOAC)によると、2007年9月のブロイラー生産量は前年同月比8.2%増の約7千5百万羽となった。ブロイラー生産量は、9月になって前月比99.1%とわずかに減少に転じたものの、2006年6月以降総じて増加傾向が続いており、1月以降は7千万羽台で推移している。この結果、2007年第3四半期まで(1〜9月)の生産量は、前年同期比8.9%増の約6億5千8百万羽となった。ひなふ化羽数についても、ブロイラー生産量と同様に2006年6月以降増加傾向で推移しており、9月のひなふ化羽数は前年同月比8.2%増の約7千8百万羽となった。

 生産量が増加傾向で推移している中、9月の卸売価格(生体)は、前年同月比58.8%高のキログラム当たり36.5バーツ(約135円:1バーツ=3.7円)となり、前月比99.3%とわずかに下降したものの、2月に上昇に転じてからは、3月以降30バーツ台の水準で推移している。9月の小売価格(中抜き)は、前年同月比30.3%高の同56.6バーツ(約209円)となり、卸売価格と同様に前年を上回る水準で推移している。

鶏肉生産量と卸売価格の推移


鶏肉調製品の輸出は増加傾向で推移

 9月の鶏肉調製品の輸出量は、前年同月比2.0%増の約2万2千トンとなった。主な輸出国別でみると、日本は同7.4%減の約8千2百トン、英国は同0.6%増の約7千6百トン、オランダは同11.1%減の約2千3百トンとなった。

 2007年第3四半期まで(1〜9月)の輸出量は約19万5千トンとなり、前年同期の実績約18万4千トンを6.0%上回った。国別実績は、日本が同3.6%減の約7万8千トン、イギリスは同6.9%増の約6万6千トン、オランダは同7.0%増の約1万8千トンとなった。国別シェアをみると、日本向けが40%、英国向けが34%となっている。日本向けは好調であった前年同期よりやや減少しているが、鶏肉調製品の輸出先としては最も多く、シェアは4割程度の水準を保っている。

 また、日本とEU以外の新規市場として有望視されているシンガポール向けは同87.8%増の約5千トン、同じく韓国向けは同80.2%増の約3千トンとなり、引き続き好調を維持している。


中東向けの鶏肉調製品の輸出が再開

 タイから中東地域に対する鶏肉輸出については、タイにおける高病原性鳥インフルエンザの発生に伴う冷凍品の輸入停止措置やハラル処理をめぐる認証問題などもあり、アラブ首長国連邦(UAE)をはじめとする湾岸協力会議(GCC)加盟国などへの輸出が2005年以降停止していた。その後、タイではUAEとの間で鶏肉調製品の輸出再開に向けた交渉が行われ、2007年8月3日、MOACはUAEがタイのハラル認証システムおよび同国産鶏肉調製品の輸入を承認した旨発表した。(「畜産の情報 海外編」平成19年11月号参照)

 この承認を受けて、2007年12月6日、UAE向けの鶏肉調製品の輸出が再開された。初回は64トン、1千万バーツ(約3千7百万円)が輸出された。

 タイブロイラー加工輸出協会によれば、8月の承認以降輸出再開が12月までずれ込んだのは、輸入業者との食味などの調整に時間を要したためとのことである。また、2008年には、UAEをはじめとする中東向けに3千トン程度の輸出が見込まれているとしている。


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