畜産の情報−トピックス−2008年4月 月報海外編

チリ、干ばつにより農業緊急事態を宣言


干ばつによる被害地へ支援

 チリ政府は2月25日、広範囲にわたる干ばつにより、同国南部第7、9、10州の46市町村に対し、また、27日には首都圏州ほかの9市町村に対し、農業緊急事態を宣言した。これまでに第4、5、6、8州および首都圏州の89の市町村が緊急事態宣言を受けており、今回の発令により144の市町村が緊急事態下にあることになる。政府は、被災地の農業生産者への支援に総額3,500万ドル(37億8千万円:1ドル=108円)を充てている。

 また、政府がこれまでに公表した干ばつによる被害地域への主な支援策の概要は以下の通りである。

 ・ 井戸の掘削および水路の改善に関する事業の実施

 ・ 農業開発機構(INDAP)によるかんがいプロジェクトへの資金交付手続きの簡素化および迅速化

 ・ 被害状況に基づき、被災した農業経営に上限3,200ドル(35万円)までの交付

 ・ 山岳地や内陸の乾燥地の小規模生産者への家畜(牛、羊、ヤギ)の医薬品、治療の提供

 ・ INDAPの災害融資をこれまでに受けていた農業経営に対する補助金の交付


生産量の減少により輸入量は増加か

 ラ・ニーニャ現象により、雨が極端に減少し、水力発電のための水を供給する全国のダムの貯水量の不足分は40%に達しているといわれ、バチェレ大統領は国民に節水を呼びかけている。また、関係者によると、すでに小麦の収穫が始まっているが、干ばつの影響で収量は10〜20%落ちたとの声も聞こえている。最近のチリの小麦の需給を見ると、作付け面積が減少傾向にあることから、輸入量が増加しており、干ばつの影響により、百万トンを超える輸入が行われるようになると見られる。また、作付け面積が拡大傾向にあるトウモロコシの収穫はまだ始まっていない。

小麦の需給表

トウモロコシの需給表

農業緊急事態が宣言された市町村

   資料:チリ農水省


元のページに戻る