中国、大雪災害からの畜産業の早期復興を指示


50年ぶりの大雪、死者100人以上、直接損失は2兆円弱に

 中国では1月中旬から2月上旬にかけ、中・南部を中心に各地で「50年ぶり」といわれる記録的な降雪が続いた。中国民生部は2月13日、全国低温雨雪凍結災害救済・回復再建活動テレビ会議を開催、その中で李学挙民生部長は、今回の大雪とその後の凍結により、2月12日までに35万4千棟の家屋が倒壊したほか、死者107人、行方不明者8人、避難者151万2千人、駅などに足止めされた累計人員は192万7千人に上り、農作物の被災面積は1億7千7百畝(約1千2百万ヘクタール:1畝(ムー)=15分の1ヘクタール)、うち収穫が絶望視されている面積は2,530万畝(約169万ヘクタール)に及び、これらの直接経済損失額が1,111億元(約1兆6千億円:1元=14.7円)に達することなどを明らかにした。

 こうした中、中国農業部は2月17日、各省級行政区の畜産獣医主管部門あてに「災害後の畜産業生産の回復発展任務プログラム」(2008年2月15日付け農弁牧〔2008〕9号農業部弁公庁通知:以下「通知」)を公布、大雪がもたらした災害からの畜産業の早期復興対策に真剣に取り組むよう指示した。


7千万を超える家畜・家きんが死亡、将来の食肉供給に影響か

 農業部の通知によると、大雪など大寒波の影響より2月14日までに死亡した家畜・家きんは全国で7,455万2千頭(羽)に及び、うち豚444万7千頭、牛43万5千頭、綿羊・ヤギ168万3千頭、家きん6,738万5千羽などとなったほか、飼料・牧草の損失は301万7千トン、畜舎・家きん舎の倒壊などによる繁殖用家畜・家きんの死亡数は907万頭(羽)に達し、畜産業の直接損失額は98億6千万元(約1千4百億円)に上るとしている。

 農業部は、南方地区の黄羽肉鶏(Chinese Yellow-Feathered Chicken:中国各地に在来する黄褐色の羽色の鶏と西洋のブロイラー品種との交雑により作出された品種。石岐雑肉種、新興黄鶏2号、嶺南黄鶏などが知られる)の1カ月当たり出荷羽数の12%、全国の子豚出荷頭数の7%に当たる家きんや子豚が死亡したため、将来的に家きん肉および豚肉の供給に影響が出るものと予測している。このため、通知は各級地方政府に対し、責任感と緊迫感を持ち、周到な計画と綿密な手配に基づき、畜産業の安定的な発展と畜産物の市場への効果的な供給に努めるよう要求している。


畜舎の再建支援や飼料・ワクチン供給などを実施へ

 通知の内容は多岐にわたるが、災害後の畜産業の全体復興目標として、コマーシャル家畜・家きんや繁殖用優良家畜・家きんの舎屋などの再建修復に対する支援を強化し、コマーシャル家畜・家きんの生産能力については2008年8月までに全面的に回復させるとともに、繁殖用の豚・家きんの生産能力については同年12月前までには回復させ、豚・家きんなどの安定生産の実現を図ることとしている。

 また、被災地区への飼料やワクチンの供給などを実施するとともに、畜種ごとに飼養モデルや重点推進技術を定め、畜産農家に対する指導・育成を強化する。そして、農場の大規模化や科学的な飼養管理に基づく健康的な家畜・家きん飼養を奨励し、専門家や技術者を現地に派遣して生産面での問題や困難の解決を援助するとしている。

 通知はさらに、各級政府の畜産獣医主管部門に対し、適切な指導体制と責任制を導入し、的確な人員配置と措置・作業を実施するとともに、各級財政主管部門および発展改革委員会など関係部門との連携強化を図りながら、被災地区の畜産業生産の早期復興を促進するよう求めている。


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