豪州産牛肉の日本向け輸出価格は堅調に推移


◇絵でみる需給動向◇


2007年牛肉生産量は高水準で推移

 豪州統計局(ABS)によると2007年10月の牛肉生産量は、前年同月比1.6%減の19万6千トンとなった。一時、気象条件好転を背景とした肉牛生産者の出荷抑制などから牛肉生産量が減少する動きも見られたが、依然として干ばつの影響は大きく、放牧環境の悪化、飼料穀物の高騰などを受けた出荷頭数増により牛肉生産量が大幅な増加を記録した前年に迫る水準となった。また、2007年1〜10月の牛肉生産量を見ると、8月以降は前年同月を下回る水準で推移しているものの、前年同期比0.8%増の181万3千トンと、この期間としては過去10年間で最大となった。

牛肉生産量の推移(1〜10月)


日本向け11月輸出量は前年同月比12.5%減、輸出価格は堅調に推移

 豪州食肉家畜生産者事業団(MLA)が公表した豪州農漁林省(DAFF)の統計に基づく、2007年11月の牛肉輸出量(子牛肉を含む船積み重量ベース)は、日本おける米国産牛肉との競合や米国における豚肉、鶏肉価格の低下に伴う牛肉需要の減少を背景に、前年同月を8.1%下回る8万7千トンとなった。主要輸出国別に見ると、米国向けは前年同月比16.0%減の2万2千トン、日本向けは同12.5%減の3万6千トンとそれぞれ減少した一方、韓国向けは1万7千トンで前年同月を2%上回るにとどまった。一方、牛肉の輸出価格については、グラスフェッドが中心の米国向けが、高水準で推移する豪州牛肉生産量を背景に低下傾向にあるものの、グレインフェッドが中心の日本向けについては引き続き堅調に推移している。これは、干ばつの影響による穀物飼料価格の高止まりなどにより生産コストが上昇していること、また、輸出向けが中心であるフィードロッド飼養頭数が減少したため、日本向けの品質の高い牛肉の供給量が不足していることが要因である。

牛肉輸出価格


期待が寄せられる今後の気象条件の好転

 豪州気象局(BOM)が11月に発表した2007年12月から2008年2月までの短期予報によると、平年の夏に比べ降雨が多く、特に、肉牛の主要生産地域であるニューサウスウェールズ州、クイーンズランド州はその可能性が高いとしている。これによって、十分な水の供給が確保され、牧草の生育改善および穀物飼料の給与量の減少などから肉牛の生産環境が好転することが期待されている。


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