ALIC/WEEKLY


EU委員会、今後の農業政策の方向性を提案


【ブラッセル駐在員 池田 一樹 7月22日発】EU委員会は、7月17日、今後の共
通農業政策(CAP)、中・東欧諸国のEUへの加盟問題などについて、その方向性を提
案した。畜産分野のCAPについては、政策価格の引き下げと、その補償措置として、頭
数割りの直接所得補償の新設や拡充が提案されている。

  今回の提案は、「2000年からの行動計画(“AGENDA2000”)」として取
りまとめられている。
  牛肉分野のCAPについては、輸出補助金を伴わない輸出市場の開拓、域内需要の回復、
および現行の輸出補助金の低減を目的として、市場支持価格を2000年から3年間で3
0%引き下げ、2,780ECU/トンから1,950ECU/トンとすることが提案さ
れている。現状の政策を維持すると、2005年の介入在庫量が150万トンまで積み上
がるとの予測に基づく対応措置である。さらに、この措置によって生ずる所得低下を補償
するため、現行の肉牛奨励金を徐々に増額する他、新たに乳牛奨励金の導入が提案されて
いる。増額後の最終的な単価案は次の通りである。
@繁殖雌牛奨励金:215ECU/頭(現行145ECU)
A雄牛奨励金:368ECU/頭(現行135ECU)。去勢牛については232ECU
/頭(現行109ECU)
B乳牛奨励金:70ECU/頭(新規)
 酪農分野については、今後2005年まで、在庫量はほぼ同水準(生乳換算で900万
トン〜950万トン)で推移し、市場に大きな変化はないと見込まれることから、大幅な
価格削減や生乳生産クオータ制度の早期廃止などの抜本的な解決策は提案しないとしてい
る。また、これまで多くの議論がなされてきた二重クオータ制度についても、世界貿易機
関(WTO)のルールに抵触する可能性があること、制度の仕組みや適用いかんではわい
曲化される可能性があること、さらに現行のクオータ制度の運用上の複雑さや管理上の問
題を拡大する可能性があることから、提案しないとしている。ただし、次期WTO交渉を
念頭に置き、安全策として次の提案を行うとしている。
  クオータ制度の2006年までの延長
  市場制度の単純化
  2006年までに市場支持価格を平均10%漸減
  乳牛奨励金(145ECU/頭/年)の新規導入。
  乳牛奨励金については、牛肉分野に区分される奨励金70ECUと合わせると215ECU
/頭となり、繁殖雌牛奨励金と同額となる。
 また、直接補償について、穀物分野でも増額が提案されるなか、すべての分野を総合して、
農家ごとに交付上限額を設定することも提案されている。
 EUの拡大については、加盟申請国のうち、交渉を開始することが適当な国として、ハンガ
リー、チェコ、ポーランド、エストニア、スロベニアを提案している。早ければ、既に交渉
開始が決定しているキプロスとあわせて、6カ国との加盟交渉が来年中にも始まる可能性が
ある。
  農相理事会は、12月の欧州サミットに向け、この提案についての報告をまとめる予定であ
る。一方、EU委員会は、欧州サミット以降にCAP改革についての正式な提案を行うもの
とみられる。


元のページに戻る