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通貨タイバーツの下落により輸入品の価格が上昇


【シンガポール駐在員 伊藤 憲一 7月24日発】タイ政府は、7月2日からタイの通貨
バーツの為替相場制度を、通貨バスケット制から管理フロート制に移行し、実質的なバー
ツの切り下げを実施した。これにより、早くもタイ国内での物価が上昇し、特に、輸入品
又は輸入品を原料としている製品の価格の上昇が大きいものとなっている。

  タイの通貨バーツが管理フロート制に移行してから、約1ヶ月が経過しようとしている
が、タイ国内では、早くも輸入品などの価格が上昇している。農業用器具、化学肥料、飼
料などの輸入品の価格は、フロート制に移管してから、平均11.84%上昇したと現地
新聞は報じている。
  また、バーツ安の影響を調査した政府の試算によると、バーツが10%まで下落した場
合は、トウモロコシ、魚粉、大豆ミールそれぞれの輸入価格は、6.62%、8.71%、
8.25%上昇し、更に、15%まで下落した場合は、9.91%、13.07%、12.
37%と大きく上昇するものの、直接的な影響を直ぐに受けない豚肉、鶏肉および国産品
との混合で製造する動物飼料などの価格は、バーツの下落が15%の場合でも、最高でも
2%と僅かな上昇になると推計している。
  しかし、飼料製造業者は、輸入業者などに対しバーツ安に掛かる追加経費の支払いが、
トウモロコシでトン当たり10から20USドルの増加となっている。当面は、在庫のトウ
モロコシで原料コストの調整はできるものの、長期となると製造コストの上昇となり死活
問題となるという。更に、緊急的にトウモロコシを必要とする業者は、1ドル当たり30
バーツ前後の為替相場で取引の決済となり、原料コスト上昇による厳しい状況下に置かれ
ている。
  一方、タイ飼料業者協会によると、近く開催される政府の経済政策審査委員会において、
今年の干ばつによる国内産トウモロコシの減産の見込みから、0%関税のトウモロコシ1
5万トンの輸入を検討するとしている。その輸入期間は、国内生産者に対する配慮から、
1ヶ月程度と短いものとなりそうである。これは、南米などから飼料用穀物を輸入すると
すると、輸送期間など見積もっても、少なくとも、45日は要することとなるため、必然
的に、インドネシアなどの近隣国からの輸入に限定されるとともに、短期間での輸入とな
るため、割増料金などが加算され、バーツ安に加え別の要因によるコスト上昇に繋がるも
のであると業界は危惧している。
  なお、タイ政府の農業分野への具体的な対策としては、現時点では、農家などに対する
化学肥料の無償供与を行うための資金の確保を考えている。



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