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米国、相次いでNAFTAの評価を発表


しデンバー駐在員 本郷 秀毅 7月24日発】 政府、民間の関係団体は、先般、相次い
でNAFTAの評価に関するレポートを発表した。それらによれば、NAFTAは、米国
経済全体にプラスの効果を与えるとともに、農業分野に対しては、とりわけよい効果を与
えているとている。

  北米自由貿易協定(NAFTA)は、米国、カナダおよびメキシコの3カ国により締結
された自由貿易協定であり、1994年1月1日に発効した。NAFTAは、一部の例外
はあるものの、加盟3カ国の関税および非関税障壁を15年間で撤廃し、貿易の拡大と投
資の促進を図ろうとするものである。
  また、NAFTAでは、大統領に対して、協定発効後3年間の運用の実態およびその効
果を議会に対して報告するよう求めている。今回のレポートは、上記規定に基づき、米貿
易通商代表部(USTR)の要請により米国国際貿易委員会(ITC)が提出したもので
ある。
  ITCにより発表されたレポートによれば、NAFTA発効後当初3年間における米国
経済への影響は、大きなものではないものの、プラスの効果があったとしている。
  具体的には、国内総生産(GDP)や経済成長率、雇用に対しては、NAFTAによる
特定の効果は認められなかったとしている。他方、貿易については、メキシコとの貿易に
効果があり、産業分野別では、調査された68の産業分野のうち、穀物や油量種子を含む
9つの産業分野において効果があったとしている。
  一方、26の農業・農産物加工業者関係機関による合同委員会は、ITCとは別に、農
業分野に特化したNAFTAの評価に関するレポートを発表した。
  これによれば、全体を考慮すると、NAFTAは米国の農業に非常によい効果を与えて
いるとしている。なかでも、メキシコの農産物・食料品の輸入に占める米国産品のシェア
は、NAFTA以前の67%から96年には78%にまで達していることを報告書では強
調している。
  また、カナダおよびメキシコは、米国にとって、日本に次ぐ第2,第3の農産物輸出相
手国となっており、とりわけ、畜産関係団体は、NAFTAによる輸出拡大効果を高く評
価している。
  今回公表された両レポートは、労働および環境団体によるNAFTAへの批判を抑える
ためもあってか、プラスの面だけが強調されたものとなっている。NAFTAはまだ緒に
ついたばかりであり、今後は、乳製品などの例外品目の取り扱いや、今後のさらなる関税
の削減が、加盟3カ国の経済に今後どのような影響を与えるのかが注目される。



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