アルゼンチンのフィードロット肉牛生産−南米−平成11年8月第400号

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アルゼンチンのフィードロット肉牛生産



【ブエノスアイレス駐在員 浅木 仁志 8月12日発】アルゼンチンのフィード
ロット生産は、97年頃から本格的に始まった。穀物価格が安くなり、生体牛(肥
育仕上がり段階)市場価格が高騰した98年にピークに達した。同年は1,135
万頭のと畜頭数のう、約150万頭がフィードロット由来であった。99年は、肥
育素牛価格が高値であることなどから減少するとみられ、約100万頭がフィード
ロットで肥育されると予測されている。

 生体牛市場価格が低下し、この国で一般的な放牧生産で利益が上がらない場合、
素牛価格、販売価格、穀物価格などを考慮して、農家はフィードロット生産を、広
い土地面積を必要としない畜産経営戦略の1つの手段として選択する。

 フィードロットは約500ヵ所で、そのうち年間5千頭以上の牛を肥育できる規
模のものが25ヵ所。主な市場は、高品質の牛肉を扱う国内のスーパーマーケット
である。

 企業経営によるフィードロットもあり、一時期投資も減退していたが、現在、ブ
エノスアイレス州西方のサン・ルイス州に年間10万頭以上の牛を肥育できる大規
模フィードロット2ヵ所が建設中である。米国の投資家ジョージ・ソロスのクレス
ド社と米国の大手フィードロット会社カクタスフィーダーズが合弁で所有するもの
と、織物産業のラディシグループが所有するものである。

 フィードロットで肥育される家畜の構成は、未経産牛50%、雄子牛25%、若
齢の雄牛23%、経産牛3%である。

 75%を占める未経産牛と雄子牛肥育の場合、母牛から離乳したての160〜1
70kgの素牛(6〜7ヵ月齢)を約90日間肥育させ、250〜270kg(9
〜10ヵ月齢)で出荷するのが一般的である。肥育期間中の飼料は、トウモロコシ
のホールクロップや穀実のサイレージ、グルテンミールが主体となり、ビタミンや
ミネラル類の飼料添加物も与えられる。

 離乳したての未経産牛と雄子牛の肥育割合が多い理由は、@フィードロット肥育
の市場での有利性(99年7月までの平均生体牛市場価格は、一般的な放牧生産の
もので0.81〜0.86ドル(93〜99円:1ドル=115円)/kgに対し、
フィードロット肥育のものは1ドル(115円)/kg)に加え、A国内消費は柔
らかい肉が好まれること、B繁殖経営において早期離乳により母牛の次の妊娠に向
けての準備期間が長くなり、繁殖生理上好ましいことなどである。

 フィードロット生産の収益性を典型的な農家を例に取ってみると次の通りである。 

コスト:ドル/頭

飼料代(穀物主体)

 54(1,440kg)

衛生関連費用

  3

素牛価格

150

販売経費

  8

その他

  3

合計

218(@)

販売価格:ドル/頭

275kg×@0.95ドル/kg

=261(A)

1頭当たり収益:43ドル(B:A−@)

収益率:約16.5%(B÷A×100)




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