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99年の10大ニュース デンバー駐在員事務所 【本郷 秀毅、樋口 英俊】


1.WTO閣僚会議が決裂(米国、カナダ)
 次期多角的貿易交渉の枠組みを決めるため、11月30日に米国のシアトルで開始
された世界貿易機関(WTO)第3回閣僚会議は、労働団体や環境団体による抗議行
動で開始が遅れるという波乱の幕開けとなった。その後、バシェフスキー米通商代表
部(USTR)代表による議長の下、精力的な協議が行われたものの、12月3日の
最終日を迎えても加盟国間の主張の隔たりは縮まらず、会議は事実上決裂した。会議
が決裂した原因は、アンチダンピングのルールの見直しについて、日本や途上国と米
国の対立が解けなかったことや、「労働と貿易」の問題について、米国の提案に途上
国が反発したことなどによるとされている。

2.FMMO制度改革案の修正法案が成立(米国)
 連邦ミルク・マーケティング・オーダー(FMMO)制度改革案の修正法案を含む
年度包括統合予算法案が、11月29日、クリントン大統領の署名により成立した。
この結果、FMMO制度の改革については、@飲用牛乳(クラスT)価格は現行のク
ラスT差額とほとんど変わらないオプションTAを採用すること、Aチーズ向け(ク
ラスV)および脱脂粉乳・バター等向け(クラスW)価格算定に必要な製造経費見合
額の適正な水準を検討するため、米農務省(USDA)が公聴会を開催すること、B
北東部諸州酪農協定を2001年9月30日まで2年間延長することなどが決定され
た。10月には加工原料乳価格支持制度の1年間延長が決定されている。

3.中国の2国間WTO加盟交渉が合意(米国、カナダ)
 バシェフスキー米通商代表部(USTR)代表と石広生・中国対外貿易経済協力相
は月15日、中国のWTO加盟交渉で両国が合意に達したと発表した。これを受けて
開始されたカナダと中国の2国間加盟交渉も、11月26日、合意に達したと発表さ
れた。中国の正式な加盟までには、今後、EUなどとの2国間加盟交渉、WTO作業
部会での加入議定書に関する協議などを経る必要がある。しかしながら、米国シアト
ルで開催された第3回閣僚会議が決裂したことから、加盟の時期は、当初予想されて
いたよりも遅れるものとみられている。

4.ホルモン牛肉輸入禁止に対する制裁を開始(米国、カナダ)
 米国およびカナダは、EUのホルモン投与牛肉の輸入禁止措置に対する制裁措置と
して、それぞれ7月29日、8月1日からEU産の食肉製品などに対して100%の
報復関税の適用を開始した。米国の制裁対象品目は、ホルモン投与牛肉の輸入禁止措
置に最も大きな影響を与えたとみられるフランス、ドイツ、イタリアおよびデンマー
クの産品が主な対象となっており、食肉のほか多岐にわたっている。これは、WTO
仲裁パネルにより、米国およびカナダの損害額がそれぞれ1億1,680万ドル(1
20億円:1ドル=103円)、1,130万ドル(12億円)とされたものを受け
たものである。

5.WTO上級委、カナダの乳価制度を輸出補助金と裁定(米国、カナダ)
 WTO上級委員会は10月13日、米国およびニュージーランドの提訴を受けて争
われてきたカナダの輸出乳製品向けを主な対象とした特別乳価制度について、これを
輸出補助金と認定し、WTO協定違反としたWTO紛争処理小委員会(パネル)の判
断を支持する旨の裁定を下した。他方、もう1つの争点であったカナダの飲用牛乳の
関税割当制度については、対象をカナダ入国の際に個人消費用として持ち込まれるも
のに限定している現行制度を認めるという判断を下し、WTO協定違反としたパネル
裁定を覆した。

6.米国、カナダ産生体牛のダンピング問題でシロ裁定(米国、カナダ)
 米国際貿易委員会(ITC)は、11月末に開催されるWTO第3回閣僚会議を目
前に控えた11月9日、カナダ産生体牛の輸入ダンピング問題について、米国の肉牛
産業は実質的な損害を被っていないとして、米商務省(DOC)が10月31日に発
表したダンピング認定を覆し、これをシロとする最終決定を下した。これは、DOC
が10月28日、85年以来15年間存続していたカナダからの生体豚の輸入に関す
る相殺関税指令を、2000年1月1日をもって廃止すると発表したのに続くもので
ある。  

7.米国産牛肉・生体豚の輸入にアンチダンピング裁定(米国、メキシコ)
 メキシコは8月3日、米国からの牛肉の輸入についてダンピングと仮決定し、ダン
ピング関税を導入した。ダンピング関税の水準は、企業ごと、部位ごとに異なり、最
大で%の高水準となっている。今後、公聴会を経て、2000年の2〜3月頃には最
終決定がなされる予定であり、仮にダンピングと正式に決定された場合は、ダンピン
グ関税は年までの間有効となる。他方、メキシコは10月20日、6月から導入され
ていた米国からの生体豚の輸入に対するアンチダンピング関税(35.1セント/s)
について、これを追認する最終決定を下した。

8.EU・ベルギー産鶏肉等の輸入を禁止(米国、カナダ)
 ベルギー産鶏肉・鶏卵などの一部からダイオキシンが検出された問題で、米国は6
月3日、EU全15ヵ国からの鶏肉、豚肉およびそれらの製品の輸入を禁止すると発
表した。また、カナダは、ベルギー産の家きん肉、卵、豚肉、それらの製品および家
畜飼料に加え、牛肉および乳製品にも輸入禁止措置を拡大した。その後、検査結果な
どを踏まえて、99年1月から5月までに輸入された製品の留保および新規輸入規制
を段階的に解除している。
 
9.畜産経営体水質保全対策の最終規則を公表(米国)
 USDAと米環境保護庁(EPA)は3月9日、水質保全を目的とした「畜産経営
体のための統一全国戦略」最終規則を発表した。これによれば、畜産経営体全体の約
5%に当たる約2万の経営体が、水質保全法に基づく許可の取得を求められており、
残りの95%の経営体は、家畜ふん尿などの自主的な管理計画の策定が求められてい
る。これは、クリントン大統領が98年2月に公表した水質保全アクション・プラン
に基づくもので、畜産経営体は、これまで以上に厳しい環境規制の下に置かれること
になる。

10.11月BFP、78年以来21年ぶりの低水準を記録(米国)
 米国の飲用規格生乳価格算定の基礎となる基礎公式価格(BFP)が11月、9.
79ドル/100ポンドと78年以来21年ぶりの低水準にまで暴落し、99年の加
工原料乳支持価格(9.90ドル)を下回った。BFPは、9月には16.26ドル
を示したが、その後、全国のチェダーチーズ取引のわずか2%(チーズ全体の0.7
%)を占めるにすぎないものの、価格形成に大きな影響を与えているシカゴ・マーカ
ンタイル取引所(CME)における取引価格が、生乳生産の回復などを反映して暴落
し、BFPも11月までの3ヵ月間で40%も低下することとなった。BFPについ
ては、2月にも、わずか1ヵ月で37%も暴落するという経験をしたばかりであった。


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