ALIC/WEEKLY


タイ魚粉製造協会、魚粉価格の安定策を政府に要請



【シンガポール駐在員 伊藤 憲一 10月28日発】タイ魚粉製造協会は、本年
9月初旬に1s当たり20.3バーツ(1バーツ=約2.8  円)であった魚粉
(たんぱく質含有量が60%以上のもの、以下同じ。)の価格が、10月中旬には
15.1バーツに急落し、その窮状を政府に訴えている。

 この要因は、ペルーおよびチリから1トン当たり380〜400USドル(1U
Sドル=110円:C&F)の安価な魚粉が大量に輸入されたことによるものとみら
れている。これらの輸入価格は関税を加算しても、1トン当たり約1万8千バーツ
(約450  USドル:1USドル=40バーツ)となり、国内の生産コストであ
る約2万バーツ(約500USドル)を下回るものとなっている。
 
 一方、魚粉の輸入については、94年以前は6%の関税に加え、1トン当たり2
千4百バーツの輸入課徴金が課せられていた。95年以降については、ガット・ウ
ルグアイラウンド(UR)での取り決めはなされていない。しかし、政府の前広な
市場開放政策により、95年および96年には、6%の関税が据え置かれたものの、
2千4百バーツの輸入課徴金は1千4百バーツに引き下げられた。また、97年に
は、1千4百バーツの輸入課徴金を350バーツに引き下げる代償として、6%の
関税率は15%に引き上げられた。さらに、98年には350   バーツの輸入課徴
金は廃止され、現在に至っている。

 同協会は、このような窮状を解決するために、10月15日に2つの対策案を商
業省に要請している。

 第1案として、1s当たり19バーツの価格で国産魚粉を支えるため、価格安定
対策の実施を提案している。政府は、全国で約1万トンと推定される魚粉製造業者
が抱える在庫を買い入れることにより、価格を支えることとし、1億9千万バーツ
の予算を求めている。

 第2案として、政府は、国産魚粉の輸出を奨励するよう求めている。輸出先とし
ては、400USドル前後で魚粉を買い求めている中国が有力とし、国産価格との
差を補てんすることにより輸出を可能にするよう3千2百万バーツの予算を求めて
いる。しかし、これについて、政府は明らかに世界貿易機関(WTO)で禁止され
ている輸出補助金と見なされる恐れがあるとしている。

 さらに、同協会は、このような魚粉および飼料原材料の価格の下支えを行わない
と、魚粉製造業者は安価な輸入魚粉に依存するか、もしくは、国内の漁業者から買
い入れ価格を大幅に引き下げざるを得なくなるとし、最終的にしわ寄せを受けるの
は国内生産者としている。

 なお、魚粉の原料となる魚くずの直近の1s当たりの価格は、約3.5バーツか
ら2.2バーツに下落している。

 また、99年(1〜7月)の魚粉の輸入量(速報値)は3万2千トンとなり、前
年実績の1万2千トンを既に大幅に超えている。また、1トン当たりの輸入単価は、
2月の2万7千バーツをピークに下落を続け、7月には97年7月以来となる2万
バーツを下回る状況となっている。一方、輸出は、98年が数量で2万5千トン、
単価で2万4千バーツであったが、99年(1〜8月)は数量で2千トン、輸出単
価で1万4千バーツとなり、数量および単価とも前年を大幅に下回っている。


元のページに戻る