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ブラジルの牛肉輸出、通貨切り下げで競争力強化



【ブエノスアイレス駐在員 浅木 仁志 11月5日発】ブラジルの99年の牛肉
需給(枝肉ベース)を98年と比較すると、生産量は約20万トン増加し、輸入量
は減少するものの国内消費は横ばいあるいは微増と予測されている。また、レアル
(ブラジルの通貨単位)の切り下げ後、価格競争力をつけたブラジルの牛肉輸出量
は、約10数万トン(最大で25万トン)増加するとされている。

 98年の牛肉輸出量(製品ベース)は以下の通りである。
・冷蔵肉(枝肉)34トン(輸出価格1.6ドル(168円:1ドル=105円)
 /kg)
・冷蔵肉(部分肉)約1万1千トン(5.3ドル(557円)/kg)
・冷凍肉(枝肉)102トン(1.0ドル(105円)/kg)
・冷凍肉(部分肉)約7万トン(3.1ドル(326円)/kg)
・加工肉約10万6千トン(2.8ドル(294円)/kg)
・その他内臓などの可食部位約1万2千トン(1.0ドル(105円)/kg)
以上、計約20万トンである。これは、97年の14万トンを大きく上回っている。

 冷蔵肉は、オランダが3千6百トン、イギリスが1千4百トン、スイスが1千1
百トンと欧州への輸出が主流である。冷凍肉は、オランダが1万6千トン、イタリ
アが1万4千トン、スペインが7千トン、イギリスが3千5百トンと、これも欧州
への輸出が主流だが、イスラエルの7千トン、香港の3千3百トンに見られるよう
に、中近東とアジアの市場にも食い込んでいる。米国へは、主に加工肉を輸出して
いる。

 98年と99年の上半期(1〜6月)の輸出量を製品ベースで比較すると、98
年は9万4千トン、99年は14万トンで50  %の増加が見られる。

 欧州向けの牛肉輸出はアルゼンチンと競合するが、ブラジルの去勢牛生体単価
(と畜前)は0.6〜0.65ドル(63〜68円)/kgであり、今後もアルゼン
チンとの価格競争では優位に立つものとみられる。

 98年の牛肉輸入量(製品ベース)は生鮮肉7万3千トン、加工肉1千5百トン、
その他内臓などの可食部位1万2千トンの計8万7千トンである。生鮮肉はウルグ
アイ(4万2千トン)、パラグアイ(1万6千トン)、アルゼンチン(1万トン)、
米国(4千トン)から輸入している。 

 98年と99年の上半期(1〜6月)の輸入量を製品ベースで比較すると、98
年は4万5千トン、99年は2万7千トンで40%減少している。


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