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豪州豚肉生産者団体が業界再編案を公表



【シドニー駐在員 藤島 博康 11月4日発】このほど豪州豚肉生産者協議会
(PCA)は、肉豚生産者からの課徴金を主に運営される現行の業界4団体を統合
し、2001年をめどに新たにポーク・オーストラリア社(PAL)を創設する再
編案を公表した。実質的に過去最低ともされた昨年の価格低迷時には、豚肉の輸入
規制措置を求めるなど揺れた豚肉業界だったが、輸出志向の強い再編案が示された。

 統合が計画されているのは、政策提案など生産者を代表して政治的活動を担うP
CA、農林漁業省の配下で国内外における豪州産豚肉の需要拡大や豚肉の生産性向
上などを図る豪州豚肉公社(APC)、同じく農林漁業省配下で研究開発を行う豚
肉研究開発公社(PRDC)、輸出業者の協賛により今年7月にAPCの一部門と
して設立された輸出振興を担う豪州豚肉輸出連合(CAPE)の4団体。

 統合により事業運営を効率化し、より効果的な施策を実施する。また、現在、A
PCやPRDCの役員は農林漁業省によって任命されているが、民営化される新団
体においては9人の役員のうち5人を肉豚生産者から選出することによって、実質
的な運営のかじ取りは財源を負担する生産者サイドに委ねられる。

 今回の再編案に対する意見聴取は12月31日締め切り、来年1月中に修正案を
作成し、最終決定は3月に開催されるPCA年次総会の場で行われる。新団体PA
Lの発足は2001年7月に予定されている。

 今回の発表に当たり、PCAのポラード会長は将来に向けての最重要課題として、
@収益性の高い輸出市場の開拓、A国内市場での輸入品との競争力向上、B消費者
を念頭に置いた品質の高い豚肉生産を挙げ、これらを実現するためにも業界団体の
再編が必要と説いている。

 豪州の98/99年度(7〜6月)の年間豚肉輸出量は、96/97年度の2倍
以上に拡大した。今年に入ってからは、昨年の価格低迷に伴う生産の縮小に加え、
シンガポール向け輸出が急激に拡大。9月時点での肉豚生体価格は今年1月より1
4%も値上がりするなど、昨年の低水準から一転して急上昇した。

 シンガポール向け輸出は、現在でも週7千頭水準の輸出が続いているとされ、さ
らに、クリスマスの需要期を控え、国内需給のひっ迫傾向はさらに強まり、輸出向
け数量確保にも支障を来し始めているとされる。このような状況にポラード会長は、
目先にとらわれることなく将来の市場多様化を目指し輸出向けを優先するよう呼び
かけている。

 ここ2年間の豪州産豚肉の輸出拡大は、台湾の口蹄疫発生による日本市場で、ま
たマレーシアのニパウィルス発生によるシンガポール市場で突如出現した輸出機会
に恵まれたものといえる。国内価格の上昇とともに、豪州への豚肉輸入も増加傾向
にある。今後も一定の輸出量を確保できるか否か、と畜頭数規模で米国の5%しか
ない豪州豚肉業界にとって、輸入国サイドに安定供給を保証するという観点から重
要な局面にある。

 環境問題などから陰りが見え始めた欧米と比較して、豪州の肉豚生産は広大な土
地を生かし、勝るとも劣らない潜在能力を持つ。しかしながら、牛肉業界同様に非
効率なと畜加工部門など、豚肉輸出国への脱皮には、業界団体再編のほかにもまだ
まだ課題は多い。


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