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豪州、肉牛農家の経営収支は改善



【シドニー駐在員 藤島 博康 9月9日発】このほど豪州農業資源経済局(AB
ARE)は、肉牛生産者の経営動向に関する報告書を公表した。これによると、9
8/99年度(7〜6月)の現金収入は、肉牛価格の回復と天候に恵まれたことか
ら、前年度より2.5%増加した。現金支出は4.0%低下しており、収入増加と
コスト削減の努力により経営収支は改善する傾向にある。

 98/99年度の肉牛経営1戸当たりの平均現金収支は約3万8百豪ドル(約2
25万円:1豪ドル=73円)に上り、前年度よりも36.2%、肉牛価格の暴落
により経営が著しく悪化した96/97年度より91.3%上昇した。

 98/99年度の平均現金収入は、92/93年度から96/97年度までの5
年間の平均を3.1%下回る一方、現金支出は5年間の平均より7.5%低下した。
これは、98/99年度が降雨に恵まれ飼料購入費が減少したことのほかに、輸送
や販売経費など全般的なコスト削減が進んだことを示す。

 現金収支から家族労賃や減価償却など固定費部分を差し引いた98/99年度の
経営収支はマイナス4,471豪ドル(約33万円)。赤字ながらも、前年度のマ
イナス18,053豪ドル(約132万円)、過去5年間平均のマイナス17,9
05豪ドル(約131万円)と比較して大きく改善した。

 平均経営収支の赤字は、84/85年度以来続いている。94/95年度から9
8/99年度までの間、黒字経営の割合は20%にすぎない。しかしながら、飼養
頭数規模によって、この割合は大きく異なり、2千8百頭を分岐点に半数以上が黒
字になり、5千5百頭以上では75%が黒字収支となる。

 全般的にみると、経営効率の上位グループにはノーザンテリトリーの大規模経営
が多く、下位にはビクトリア州の3百頭以下の小規模経営が多く見られる。南部で
は放牧地から高収益を期待できる穀物などに作目転換が進む一方で、肉牛は北部の
大規模経営で生産という地域的な分化が進展し、現在のと畜業界の再編にも影響を
与える可能性もある。

 報告書では、全体の4分の1に当たる肉牛生産者は、最近の肉牛の高価格により
収益は増加するとの楽観的な見通しを持っているとしている。現在の肉牛市況は9
5年以来の高水準を維持している上、今後、アジア市場での需要回復により、輸出
はさらに拡大すると期待されている。また、生体牛輸出についても、東南アジア向
けの回復と、新興市場である北アフリカ地域向けの拡大が予想されており、価格引
き上げ要因とみられている。

 肉牛生産者が現在抱えている問題の1つとして、草地管理が挙げられる。現在、
クインズランド州のほぼ3分の2近くの生産者が、樹木の侵食によって放牧地面積
の約20%で草地生産効率が低下するという事態に直面しているとされる。


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