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アルゼンチン、ウルグアイの牛肉輸出の変化



【ブエノスアイレス駐在員 浅木 仁志 8月2日発】2000年前半のアルゼンチン
とウルグアイにおける牛肉輸出構造が、昨年と比べて変化している。

(アルゼンチン)
 今年上半期(1〜6月)のEU向け高級牛肉枠(ヒルトン枠)輸出量は1万2,747
トン(以下製品ベース。7.2ドル(約785円:1ドル=約109円)/s(以下FOB
単価))と、前年同期は1万3,026トンであったことから量的に大きな変化はなか
った。今年上半期のヒルトン枠外の生鮮牛肉(冷凍・冷蔵肉)輸出量は7万5,777
トン(2.3ドル(約251円)/s)と前年同期比17%増で、大きな特徴は、カナダ、
台湾向けがそれぞれ1万8,812トン(1.7ドル(約185円)/s)、1,890トン(2.7
ドル(約294円)/s)と前年同期の13倍、8倍と突出した伸びを示したことであ
る。従来、豪州、ニュージーランド(NZ)が強かったカナダ市場にアルゼンチン
が取って代わった。その分、米国、チリ、EU諸国向けが減少した構造になった。
これは、アルゼンチン産牛肉の価格競争力が豪州、NZ産に特に勝ったわけではな
く、豪州産のフルセット輸出と異なり実需者側が求める特定部位に対し、量、スペ
ックで柔軟に対応できる体制を整えることができたことにアルゼンチンの強味があ
ったようだ。事実、各部位の輸出量に占める割合は、カナダ向けではフォアクォー
ターが45%、台湾向けではリブロース、シャンクが67%である。このことは今回の
カナダ、台湾市場に限らず、今後各部位ごとに輸出市場の選択ができるわけで、さ
らに口蹄疫清浄化によって製品の幅が広がることが見込まれ、メキシコやアジア市
場への期待も高まっている。

(ウルグアイ)
 2000年1月〜7月15日の牛肉輸出量(冷凍・冷蔵および加工肉。枝肉ベース)は、
前年同期比32%増の16万2千トン。内訳を見ると、北米自由貿易協定(NAFTA)
地域向けが前年同期比でほぼ倍の6万2,362トン、うち特にカナダ、メキシコ向け
はそれぞれ2万2,301トン、1万7,776トンと前年同期の2.2倍、4.4倍と大きく伸び
た。また、アジアを含むその他向けは2万9,358トンと前年同期の2.6倍で、うち日
本向けは7,446トンと25倍になっている。ウルグアイの場合、99年後半の干ばつに
よる牧草被害で家畜飼養が困難となったため多頭数を出荷せざるを得ない事情にあ
り、結果として市場が飽和状態となったことで価格競争力がついたようだ。このた
め、今年後半の輸出が前半のペースを維持できるかどうか疑問視する声もある。

お知らせ:来週は休刊とさせていただきます。次号は8月22日発行です。

 


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