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アルゼンチン豚肉輸入、過去5年で初めて減少



【ブエノスアイレス駐在員 浅木 仁志 5月24日発】アルゼンチンの99年の豚
肉輸入は、6万6千240トン(製品ベース)で、前年比7%の減少となった。99年の
輸入品の内訳は生鮮肉4万6千トン、ハム・腸詰類が1万4千トン、その他である。
輸入生鮮肉はもっぱらハム・腸詰類などの加工製品の原料肉に回され、かた肉、も
も肉および背脂肪(少量の肉を含む)が73%を占める。また、輸入ハム・腸詰類の
うち、調理済みハム、生ハム、かた肉を原料にしたハム・腸詰類が77%を占める。
アルゼンチンの豚肉消費の特徴は、約22万トンの国産豚肉も含め、約9割はハム、
腸詰類の加工品の形態で消費され、ポークチョップやバーベキューなどのテーブル
ミートでの消費は約1割にすぎない。年間1人当たりの豚肉等の消費量は、漸増傾
向だが約8kgである。

 99年の輸入量(製品ベース)のうち64%はブラジル産が占め(輸入生鮮肉の68%、
ハム・腸詰類の65%を占める)、デンマークの14%、チリの7%、スペインの5%
と続く。

 鶏肉同様、豚肉についてもブラジルとアルゼンチンの間で貿易摩擦が絶えない。
ブラジルの農業生産・流通支援政策は融資、保険、最低価格保証を3本柱とする複
雑なもので、国家食糧供給公社(コナブ)による穀物価格安定制度、輸出促進プロ
グラムの一環としての免税措置を取り入れた輸出経費に対する融資制度など多数あ
る。アルゼンチンはこれらの制度に対して補助金付き輸出、ダンピングであると非
難している。しかし、結局はアルゼンチンペソの過大評価とブラジル通貨レアル切
り下げによるブラジルの輸出競争力増大が紛争の根底にある。ブラジルは養鶏・養
豚を重要な産業として投資し、経営の効率化に向け努力しているのに対し、アルゼ
ンチンの対外非難だけに終始している態度には国内からも疑問が出ているようだ。
また、アルゼンチンのメルコスル(南米南部共同市場)への再三の訴えは、証拠不
十分で却下されている。

 なお、99年ブラジルの養豚業の基本データは、飼養頭数2千9百万頭、と畜頭数
2千3百万頭、生産量(枝肉ベース)165万トン、国内消費量147万トン(年間1人
当たり9kg)、輸出量(枝肉ベース)17万トンとなっている。

  アルゼンチンの主要輸入相手国別・品目別豚肉等輸入量(製品ベース)  
                              (単位:トン)
輸入量計 生鮮肉 ハム・腸詰類 その他

豚脂

加工品

内臓
ブラジル 42,522 31,451 9,470 769 620 168 44
デンマーク 8,973 8,814 158
チリ 4,322 3,999 22 299
スペイン 3,073 2,964 60 49
イタリア 2,773 1,702 1,070

合計

66,241 45,986 14,497 4,606 717 389 44

資料:アルゼンチン農牧水産食糧庁


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