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イギリス、BSE発生は引き続き減少



【ブラッセル駐在員 島森 宏夫 9月28日発】イギリス農漁業食料省は9月25日、
牛海綿状脳症(BSE)状況報告書を発表した。同報告書は6ヵ月ごとに発表され
ているもので、今回は2000年6月末までの状況が取りまとめられた。

○最近の発生状況と今後の予測
 2000年1〜6月のイギリスにおけるBSE発生確認頭数(民間報告および調査に
よる確認事例を除く)は611頭で前年同期1,347頭に比べ45%となった。また、BS
Eが疑われた頭数(発生確認頭数を含む)は1,077頭で、前年同期1,770頭に比べ61
%となった。獣医検査局のコンピュータ・モデルによる将来予測では、2000年の発
生確認頭数は1,115頭(95%信頼区間:890〜1,340頭)、2001年は477頭(同330〜6
24頭)、2002年には171頭(同84〜258頭)と着実に減少するものと見込まれている。

○これまでの発生状況
  BSEが認知された86年11月から2000年6月末までのBSE発生状況を見ると、
3万5,051農場で17万6,954頭の発生が確認されている。1頭以上の発生が認められ
た牛群割合は、乳牛で61.2%、肉牛で16.6%、全体で37.4%となっている。5頭以
上の発生があった牛群の発生頭数は全体発生頭数の74.6%を占めるが、そのような
牛群数の割合は全体牛群数の11.9%にすぎない。

○クロイツフェルト・ヤコブ病発生状況
 BSEが感染したものと考えられている人の異型クロイツフェルト・ヤコブ病の
発生状況は、2000年6月30日までに74人(疑似患者を含む)となっている。うち疑
似患者が11人(7人生存、このほか4人は病理検査確認待ち)、残る63人は同疾病
による死亡が確認されている。

○肉・骨粉飼料に関する検査結果
 BSEの感染源と考えられ、反すう動物への給与が禁止されている哺乳類由来肉・
骨粉飼料に関する検査では、96年8月以来、反すう動物用飼料としての不正使用は
発見されていない。

○スクレーピーの発生状況
 羊・山羊の海綿状脳症であるスクレーピーの2000年1〜6月の発生頭数は254頭、
ほかに未確定65頭だった。イギリスでは98年7月29日から、スクレーピーの臨床症
状を示した羊・山羊はと畜処分しなければならない規則となっている

○各国のイギリス産牛肉輸入規制状況
 なお、BSEの発生に関連し、EU加盟国のうちではフランスが唯一イギリス産
牛肉の輸入禁止を継続しているが、各国(EU加盟国を含む)のイギリス産牛肉輸
入規制の現状は次の通りである。

・輸入禁止を行っていない国   81ヵ国

 うち輸出衛生証明合意国    20ヵ国

・輸入禁止国          91ヵ国

・まだ対応を決めていない国   30ヵ国



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