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シンガポール向けに初生ひな輸出を開始(タイ)


【シンガポール駐在員 小林 誠 11月29日発】タイ鶏卵生産・流通・輸出協会に
よれば、チャロン・ポカパン(CP)社はシンガポールから10万4千羽の初生ひな
輸出を受注し、今後も継続的に輸出することが期待されている。タイは、これまで
シンガポール向けの初生ひなや鶏卵の輸出実績がほとんどなく、国内の鶏卵消費が
伸び悩む中、高い収益性が期待できるシンガポール向けの輸出に期待が高まってい
る。

 シンガポールは、国土が狭隘であることから、国内にほとんど畜産業がなく、畜
産物の大半を隣国であるインドネシアとマレーシアに依存している。しかし、鶏卵
だけは例外で、島内西北部の農業技術団地に7戸の養鶏場があり、合計で約370万
羽の卵用鶏(このうち成鶏は、推計で約170万羽)が飼養されている。現在の生産
量は日産約105万個で自給率約35%程度だが、生産者は近い将来、これを日産160万
個、自給率53%程度まで増産したい考えである。

 シンガポールには、種鶏場がなく、これまで初生ひなはインドネシアから供給を
受けていたが、衛生上の問題が発生したことから、タイからの輸入に踏み切った。
しかし、シンガポールでは生きた家畜および畜産物の輸入に際しては、農産食品・
獣医庁による書類審査と現地調査をクリアする必要があり、同庁の検査は厳格であ
ることで知られている。昨年、ミャンマーが鶏卵の輸出を行った際には、コンテナ
到着後の検査で一部のコンテナからサルモネラ菌が検出され、当該コンテナを含む
全コンテナが返却処分になった例がある。今回も、同庁は出荷元候補となったタイ
の5農場の全鶏舎の鶏からの血液サンプル採取を求めたが、これを嫌がって4農場
が供給を断念している。検査の結果、100サンプル中6サンプルでサルモネラ菌が
検出されたが、タイ農業協同組合省畜産開発局の強い要請により再検査を実施した
ところ検出数がゼロとなり、輸入承認の運びとなった。このような煩雑な手続きは
必要であるものの、ひなの価格は1羽当たり25〜27バーツ(約70〜76円:1バーツ=
2.8円)と通常のタイでの国内販売価格である10バーツ(約28円)程度を大幅に上
回っており、輸送コストを考慮しても収益性の高いものとなっている。

 タイ同局は、今回の初生ひなでの成功に続き、シンガポール向けに鶏卵の輸出も
実現しようと、農産食品・獣医庁との交渉を継続している。タイの年間1人当たり
の鶏卵消費量は132個程度で伸び悩んでいるが、シンガポールは推計で同270個程度
と東南アジア諸国では最高水準にあるとみられており、国内生産で不足する分はマ
レーシアからの輸入に依存している。マレーシア産の鶏卵の輸出価格は1個当たり
22セン(約7円:1セン=0.33円)程度であるのに対し、タイ産の鶏卵は11月上旬
に香港向けに輸出したもので同1.74〜2.21バーツ(約5〜6円)であり、十分に価
格競争力があるとみられている。

 タイ同局は、主に衛生上の観点から、農場の品質証明制度を運用しており、すで
にブロイラーと豚肉では品質証明書の交付を行っている。しかし、鶏卵については、
生産者・卸業者共に住所などを公開していないため、品質証明を受けた者がなく、
タイ産鶏卵の品質に対する国内外の消費者の信頼を得ることが今後の課題となって
いる。 


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