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米農務省、養豚経営を対象にした保険プログラムを試行


【ワシントン駐在員 渡辺 裕一郎 11月29日発】米農務省(USDA)は11月21日、
豚価低下時のリスク管理対策として、アイオワ州の養豚経営を対象にした2つの保
険プログラムの試行を決定した。これらは、農家におけるセーフティ・ネットの強
化のため、連邦作物保険法の改正法として昨年6月に成立した、農業リスク保護法
(Agriculture Risk Protection Act of 2000)に基づく畜産パイロット・プログ
ラムとして実施される。これまでは、連邦政府が支援する畜産経営に対する保険制
度は認められていなかったため、今回初めて、その道が開かれることとなった。

 法律上、畜産パイロット・プログラムの対象となる畜種は、肉牛、羊、豚、山羊、
家きんなど全般に及ぶ。USDAの連邦作物保険公社(FCIC)は、2004年までの間に2
つ以上のパイロット・プログラムを実施し、畜産経営にとってのリスク管理対策と
して最も有効な手法について評価することとされており、その手法としては、先物
・オプション取引の活用や、価格・収入の変動、生産量の減少に対する保険の活用
が挙げられている。予算規模は、2001〜2002年が1千万ドル(約12億3千万円:1
ドル=123円)、2003年が1千5百万ドル(約18億4,500万円)、2004年が2千万ド
ル(約24億6千万円)である。

 今回決定されたパイロット・プログラムが、なぜアイオワ州の養豚経営に焦点を
当てたのかについては明らかにされていないが、豚肉価格は生産の増減による影響
を受けやすく、米国では98〜99年に歴史的な豚価の下落を経験するなど、セーフテ
ィ・ネットの創設が養豚関係者からも求められていること、アイオワ州は、豚飼養
頭数第1位を誇る、家族経営主体の伝統的生産州であることなどから、ケース・ス
タディとしても最適との判断があったものと考えられる。試行される2つのプログ
ラムの概要は、以下のとおりである(いずれもアイオワ州内のすべての郡内にある
養豚経営を対象とし、FCICが民間の保険会社を通じて実施する)。

@ 畜産粗収入パイロット・プログラム

  最低30日間の肥育を前提。保険期間は6ヵ月間で、その間の対象頭数は1万5
 千頭が上限。飼料コスト(トウモロコシや大豆粕の価格)が上昇または肉豚価格
 が低下した場合、各生産者が選択した保証割合(85〜100%)に応じて一定の粗
 収入が保証される仕組み。肉豚および飼料の価格は、先物契約による。保険は20
 02年7月に販売開始(同年8月1日〜翌年1月31日が最初の対象期間)。

A 畜産リスク保護パイロット・プログラム

  保険期間は90日、120日、150日、180日の4種類であり、年間対象頭数は3万
 2千頭。指標となる肉豚価格が各生産者の選択した保証価格を下回った場合、保
 証割合(70〜95%)に応じて保険金が支払われる。保険は2002年4月に販売が開
 始され、年間を通じて販売される。

 今回のパイロット・プログラムの成果いかんによっては、将来において、対象と
なる畜種や地域の拡大、さらには、作物保険のようないわゆる恒久的な措置への移
行も考えられ、今後も注視が必要であろう。


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