ALIC/WEEKLY


2001年の10大ニュース


【シドニー駐在員事務所】粂川 俊一、幸田 太

1.巨大乳業企業フォンテラ始動(NZ)
 ニュージーランド(NZ)の協同組合系乳業会社フォンテラ(旧グローバル・デ
イリー・カンパニー)は10月16日、会社として活動するための正式な手続きをすべ
て完了したと発表した。この巨大乳業企業設立への一連の動きは、昨年12月のNZ
の2大酪農組合(乳業企業)とNZデイリーボードが統合して新会社を設立するこ
とを視野に入れ、合併に基本合意したことに始まった。NZの全生乳生産量の約95
%を処理・販売するフォンテラはオセアニアだけにとどまらない巨大な乳製品の世
界企業を目指している。
 
2.豪州連邦政府が酪農補償の追加実施を決定
 豪州連邦政府は5月21日、昨年7月の酪農乳業制度改革によって厳しい経済的損
失を被った酪農生産者を対象に、総額1億4千万豪ドル(約91億円:1豪ドル=65
円)の追加補償を行うと発表した。この措置に先立ち豪州農業資源経済局(ABA
RE)は、トラス農相の命を受け緊急的に酪農改革の影響調査を実施し、その結果
を公表していた。一部に政府の選挙対策との批判も出されたが、酪農生産者団体な
どは一様に歓迎し、その後、豪州消費者自由競争委員会(ACCC)が、酪農生産
者に乳業メーカーとの団体交渉権を認める草案を明らかにしたことと併せ、生産者
には改革後のフォローアップが示された形となった。

3.GM研究開発の禁止措置を解除(NZ)
 ニュージーランド(NZ)政府は10月31日、かねてから議論を重ねていた遺伝子
組み換え(GM)技術に対して、The Royal Commission(NZ王立委員会)のGM
研究等のあり方に対する答申を尊重し、現行の管理体制を強化する前提で、2年間
にわたるGM研究開発の禁止措置を解除した。この措置については、政府と産業界
でGM作物の優位性と安全性の観点から議論が展開され、今後、グローバリゼーシ
ョンが進む中では、GM研究開発がNZの国際競争力を向上させるために必要であ
るとの結論に達したものとみられる。

4.フィードロット飼養頭数が最高記録を更新(豪州)
 豪州フィードロット協会(ALFA)は11月9日、四半期ごとに行っている全国
フィードロット飼養頭数調査の結果を発表した。これによると、総飼養頭数は2001
年9月末時点で74万2千頭となり、過去最高を記録した今年6月の調査時点の69万
3千頭からさらに7%増加し、再度記録を更新することとなった。飼養頭数は増加
しているものの、仕向け先シェアの55.7%を占める日本における牛海綿状脳症(B
SE)発生の影響が豪州のフィードロット産業に与える影響は大きいとみられ、今
後の調査結果が注目される。

5.豪州・NZ政府が家畜伝染病緊急対応計画に合意
 豪州連邦・各州およびニュージーランド(NZ)政府の関係閣僚からなる豪州・
NZ農業資源管理評議会(ARMCANZ)は8月17日、定期会合を開催し、懸
案の家畜伝染病緊急対応(EADP)計画に合意した。これは口蹄疫などの家畜伝
染病の発生を想定して対応策や関連コストの官民負担割合などを定めたもので、こ
の合意により総合的な家畜伝染病対策が開始される見通しとなった。なお、同時に
BSE対策として、反すう家畜に動物性飼料を与えない措置の強化にも合意してい
る。

6.WTO裁定により対米ラム肉貿易の紛争終結(豪州・NZ)
 世界貿易機関(WTO)は5月1日、米国が豪州・ニュージーランド(NZ)産
ラムに対して導入している輸入制限措置について、最終的に国際協定違反とする裁
定を下した。これに伴い、WTOは、米国に対し60日以内に現行輸入制限措置の見
直しを行うよう指示し、米国政府は回答期限を延長した後の9月1日、輸入制限措
置について11月15日に撤廃すると発表した。豪州・NZの羊肉産業では、約2年間
に及ぶ紛争の終結により、今後の輸出拡大に期待が高まっている。

7.ボンラックがNZDBと業務提携へ(豪州)
 豪州の2大組合系乳製品メーカーの1つであるボンラックは、4月23日に組合員
大会を開催し、ニュージーランド・デイリー・ボード(NZDB)と全面的に業務
提携を行うことを決定した。NZDBは、業績が悪化したボンラックに対して資金
・技術・販売面で協力し、同社の経営再建と積極的な事業拡大を進めることになる。
その後、NZDBは、NZの2大酪農組合と合併し、巨大乳業企業フォンテラとし
て設立されたことから、この業務提携は単に豪州の1乳業メーカーの去就にとどま
らぬ影響を及ぼすとみられ、オセアニア全体で乳業界の再編が進む可能性が高まっ
ている。

8.豪州対米牛肉輸出、初の関税割当数量超過
 豪州食肉家畜生産者事業団(MLA)は、米国時間12月4日に、初めて豪州の米
国向け牛肉輸出がその輸入割当枠を達成したと発表した。現在、米国政府はWTO
合意に基づき牛肉について国別の関税割当を行っており、豪州に対しては、年間37
8,214トン、枠内税率4.4USセント/sを適用しているが、今後は一律26.4%の関
税が適用されることとなる。今年の対米輸出量は、39万トンに届くと予想されてお
り、豪州食肉業界では、来年以降、効率的な枠内数量消化のために、何らかの手段
を講じることを検討している模様である。

9.NLISと小売販売のリンクを検討(豪州)
 豪州では99年から電子耳標を用いた全国家畜個体識別制度(NLIS)が肉用牛
生産者の任意参加で開始されているが、豪州食肉家畜生産者事業団(MLA)は11
月、「ファームからフォークまで」と銘打ち、小売販売における国際方式のバーコ
ードシステムとNLISの電子データとの連結によって、追跡可能性をさらに高め
る計画を発表した。NLISについては、連邦政府が費用負担の観点から義務化に
ついて難色を示す一方で、ビクトリア州では法的な制度として義務化の動きもあり、
徐々に制度として拡充強化される方向にある。

10.輸出好調な中、豪州豚肉新団体が発足
 豪州連邦議会上院は3月27日、豚肉新団体の設立に関するオーストラリア・ポー
ク・リミテッド(APL:Australian Pork Limited)法案を可決した。これによ
り、豪州豚肉業界の主要3団体が統合され、政策提言、生産・流通管理、研究開発
を行う新団体APLがスタートすることが正式に決定され、7月から活動を開始し
た。シンガポールや日本への輸出強化によって年間輸出額2億豪ドル(約130億円)
突破が見込まれる中、11月には初めての年次総会が開催され、さらなる輸出拡大を
目指した積極的な活動が各方面から期待されている。


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