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初生びなの価格が大幅に下落(ミャンマー)


【シンガポール駐在員 小林 誠 9月27日発】ミャンマーでは、飼料費の上昇
を主な原因として、養鶏産業の収益性が低下していることから、8月中旬以降、初
生びなの売れ行きが落ち込む中、価格が大幅に下落している。このような状況の下、
多くのふ卵場は行き先を失った初生びなであふれており、この状況が長引けば経営
が立ち行かなくなるふ卵場も出てくるとみられている。

 ミャンマー政府は、昨年8月、家きん繁殖開発計画を立ち上げた。同計画では、
(1)同国鶏の88%を占める在来鶏の増殖・配布、(2)卵肉兼用で優良な在来鶏
であるRIR種の繁殖農家の設立、(3)輸入を含めた初生びな生産独占企業の排
除、(4)卵、鶏肉の生産・供給安定化による消費者価格の安定、の4つを目標と
している。畜水省家畜生産・獣医局によれば、同国では、毎年ニューカッスル病が
多発し、養鶏産業の障害となっていたが、昨年、豪州から試験的に供給された耐熱
性ワクチン(タブレット状で飲水に溶かして給与)の効果により、本病の発生が抑
えられ、鶏の羽数は順調に増加しているという。同局によれば、今年3月末日現在
の鶏の羽数は、前年同期の約3,953万羽から約22%増えて約4,827万羽となっており、
特に増殖に力点の置かれている、在来鶏の中でも優良とされるRIR種は前年同期
の約70万羽の約2.7倍である約187万羽まで増えている。

 このような状況の中、国内大手のふ卵業者であるミャンマーCP社は、何とかし
て採卵鶏の初生びなの販売を拡大しようと、7月まで1羽当たり185チャット(約33
円:実勢レート1チャット=0.18円)で販売していたものを8月中旬には1羽当た
り100チャット(約18円)まで引き下げた。

 同国内には現在、外国種向けと在来種向けを含めて30ヵ所のふ卵場があり、年間
約1,800万羽の初生びなを生産している。しかし、毎週2万羽以上の初生びなを生産
できるのは、ミャンマーCP社以外にミャンマー・マイ・カ産業社とウ・アイ農場
の3ヵ所のみで、その他は毎週6千〜8千羽の生産規模にとどまっている。大手の
うち、同国北部にある国内第2の都市マンダレーを本拠地とするウ・アイ農場は、
ミャンマーCP社に対抗する措置として、9月に入って、同社の生産するハイライ
ン種の初生びなをCP社より2割安い1羽当たり80チャット(約14円)で販売する
と発表した。しかし、畜水省によれば、同国の初生びなの生産コストは、1羽当た
り135チャット(約24円)程度であるとしており、ひなの売れ行きが悪いながらも
他社は値下げには踏み切れていない。値下げを行った2社は、事業内容が初生びな
の販売に特化しておらず、飼料、薬品その他の生産物の販売であげた収益で初生び
な事業の損失を補っており、値下げできないふ卵場の中には一時的に業務停止を余
儀なくされるところも出始めている。

 同国は、自然条件に恵まれており、飼料原材料であるトウモロコシ、落花生粕、
ゴマ粕などを自給しているが、仏暦の新年明けである5月以降、同国の通貨チャッ
トの交換レート下落傾向が続いており、通常、輸出価格とパラレルに推移するこれ
ら原材料の国内価格がじりじりと値を上げている。現在の状況が続けば、中小ふ卵
場の閉鎖も懸念されており、政府の計画とは裏腹に、ふ卵業の寡占化に拍車がかか
る怖れがある。
 

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