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食肉加工処理大手2社が合弁会社の設立を発表


【シドニー 幸田 太 8月8日発】豪州食肉加工処理業界3位のコンソリデー
ティド・ミート・グループ(CMG)社と同4位のティーズ・ブラザーズ(TE
YS)社は7月31日、合弁会社を設立することを発表した。同時にCMG社は処
理量が単一工場としては豪州2位であったレイクス・クリーク工場を閉鎖、700人
の従業員を解雇する方針を打ち出しており、地域経済に与える影響も懸念されて
いる。

 豪州では毎年12月後半から翌年1月後半まで食肉処理業界の慣例的な約1ヵ月
程度の年末年始休暇がある。しかし、今回は昨年日本で発生した牛海綿状脳症
(BSE)の余波で各社が輸出不振を理由にその休暇を前倒したり、期間を延長
していた。

 その中でも特にCMG社のレイクス・クリーク工場は労働組合と経営側が賃上
げについて折り合わず、争議に発展したため、通常の休暇期間を超え長期にわた
って操業を停止していた。この問題は、第三者機関の仲介により決着し、今年5
月末にようやく操業が再開された。しかし、同工場の従業員数は昨年ピーク時の
1,300人から1,000人へと削減され、依然労使間の小競り合いが続いたことから以
前の稼動水準への回復は果たせず、同工場は閉鎖に追い込まれた。また、豪州国
内では昨年末、肉牛価格の高騰がピークを迎えており、牛肉輸出の不調と肉牛価
格の値上がりで同社は厳しい経営を迫られていた。

 新会社への資本比率については、50:50で対等という形になっているが、実際
はTEYS社が経営の主導権を握ることとなっている。なお、この新会社の資本
総額は2億豪ドル(約130億円:1豪ドル=65円)となる。

 新会社の本社は現在のTEYS社の本社(クインズランド(QLD)州、ビン
リー)内に設けられる予定で、本年10月1日の設立を目指している。
 
 新会社の施設は、既存のTEYS社のうちビンリー、ビロエラ(QLD州)、
ナラコート(南オーストラリア州)の3食肉処理工場とコンダマイン(QLD州)
のフィードロット、CMG社については、イニスフェール(QLD州)、キャス
リーン(北部準州)の2食肉処理工場が含まれる予定となっている。なお、レイ
クス・クリーク工場については、将来的に操業を再開するか否か現状では確認で
きていない。

 仮に、これらすべての食肉処理場が稼動した場合、2000年食肉処理業者トップ
25(「海外駐在員情報」平成14年1月15日号参照)から推計すると、新会社の年
間出荷重量は31万トンに上り、トップの米国資本のオーストラリア・ミート・ホ
ールディング社の同37万トンに次ぐこととなる。今後、この合弁については、豪
州消費者自由競争委員会(ACCC)の承認を経て実施されることとされている。
レイクス・クリークの工場再開とACCCでの承認の行方が今後注目される。

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