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酪農生産動向、規模拡大の動き(豪州)


【シドニー駐在員 幸田 太 2月7日発】豪州酪農庁(ADC)は、統計資料
「Australian Dairy industry in focus 2001」を公表した。それによると、豪
州における2001年6月末時点での経産牛飼養頭数は、前年と比べて約11万頭増加し、
228万1千頭(対前年比105.1%)となった。酪農家1戸当たりの平均飼養頭数も19
2頭(前年168頭)となり、豪州全体の飼養頭数、1戸当たりの規模ともに拡大して
いることが示された。

 経産牛飼養頭数を州別に見ると、ビクトリア(VIC)州が最も多く143万3千
頭、次いでニューサウス・ウエールズ(NSW)州28万4千頭、クインズランド
(QLD)州18万7千頭、タスマニア(TAS)州16万頭、南オーストラリア(S
A)州13万2千頭、西オーストラリア(WA)州7万2千頭となっている。前年比
では、加工原料向け生乳が50%を超えるVIC、TAS、SAの各州でそれぞれ4.
8%、15.1%、25.7%増加している。これに対して、飲用仕向けが50%を超えるN
SW、QLD州では、それぞれ1.7%、4.1%減少した。

 一方、酪農家戸数を豪州全体で見ると1万1,876戸と、前年から1,012戸も減少し
ている。州別に見るとVIC州が最も多く7,559戸、次いでNSW州1,430戸、QL
D州1,350戸、TAS州638戸、SA州587戸、WA州357戸となっている。前年比で
は、VIC州、TAS州、SA州、NSW州、QLD州のすべての州でそれぞれ3.
2%、13.1%、12.0%、17.1%、15.5%の減少となり、飲用向け生産を主体として
いる州の減少率が高くなった。豪州全体でも7.9%と前年の減少率2.0%からさらに
大きな減少を示す結果となった。

 しかしながら、1戸あたりの平均飼養頭数は、豪州全体で192頭となり昨年の168
頭から14.3%増加した。州別にはVIC州、TAS州、SA州、NSW州、QLD
州の各州で8.1%、32.4%、42.9%、18.6%、13.5%と総じて増加している状況が
見て取れる。

 一昨年7月に始まった酪農乳業改革は、酪農生産構造を大きく変貌させたように
も思える。改革以降、今回の調査でもわかるように、大量の酪農生産者が離脱し、
生乳の生産者販売価格は、それまで倍以上の価格差があった飲用仕向けと加工仕向
けの乳価が今ではその差がわずかしかないほど飲用向け乳価は下落していると聞く。
このような厳しい状況の中、酪農に踏みとどまる生産者は、生乳販売価格の減少を
補うため、早急に規模拡大を行い、生乳生産量の確保と生産の効率化を図る道を選
んでいる。

 豪州の乳製品輸出は、豪ドル安、国際価格の高騰等で依然好調であり、当面は生
乳に対する需要は強いと思われる。しかしながら、先行きが不透明な国際市場が相
手である以上、今後も酪農生産の効率化に向けた努力が続けられるものとみられる。
 
経営規模の推移
   酪農家戸数 経産牛頭数 1戸当たり
平均牛飼養
頭数
1頭当たり
平均生乳
生産量
(戸) (千頭) (頭) (リットル/1頭)
豪州全体
1999 13,156 2,155 163 4,831
2000 12,888 2,171 168 4,996
2001 11,876 2,281 192 4,624
資料:ADC「Australian Dairy industry in focus 2001」

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