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亜国農牧庁、ヒルトン枠の新配分方法を採択


【ブエノスアイレス駐在員 玉井 明雄 1月9日発】アルゼンチン農牧水産食糧庁
(SAGPyA)は、2001年11 月7日付け決議914/2001で、2001年〜2003年(対
象期間はそれぞれ7月1日〜6月30日)の3期分についてヒルトン枠の国内への新
配分方法を採択した。

 EUはアルゼンチンに対し、高品質な生鮮冷蔵・冷凍牛肉に対する関税割当であ
る高級牛肉枠(ヒルトン枠)として、年間2万8千トンの割り当てを認めている。
一方、SAGPyAは、2年ないし3年ごとに、国内の食肉処理加工業者(以下
「食肉業者」という。)に対するヒルトン枠の配分方法を採択している。

 決議914/2001で採択された新配分方法の概要は次の通りである。

@過去3年の牛肉、加熱処理製品および内臓の輸出実績による配分(総枠の94%
 からB〜Dに対する割当量を引いた残量)

A輸出食肉業者と生産者団体やブリーダー協会との輸出共同事業に対する配分
 (総枠の6%)

B前年の牛肉および加熱処理製品の輸出実績による配分。サイクル1(と畜を含
 む処理加工工程対応)の食肉業者に対し200トン、サイクル2(加工工程のみ対
 応)の食肉業者に対し150トン

C新規の食肉処理加工施設として新たに認可された食肉業者に対する配分。サイ
 クル1に対し300トン、サイクル2に対し200トン

D前回の配分の際に、新規の食肉処理加工施設として認可された食肉業者に対す
 る配分。サイクル1に対し150トン、サイクル2に対し100トン

 なお、@とBのベースとなる過去の輸出実績について、ヒルトン枠輸出は対象外
となる。

 今回の配分方法は、前回(決議198/99)と比べ、各州の去勢牛頭数と食肉処理
加工施設数に基づく配分や食肉業者の従業員数に基づく配分がなくなり、過去の輸
出実績による配分がより重視されている。現在、アルゼンチンにおける口蹄疫発生
によるEU市場の閉鎖から、国内の食肉業者に対する配分は行われていないが、こ
の新配分方法に基づき、配分が行われた場合、前回と比べ、輸出実績の多い大手食
肉業者への配分が増加することになる。

 アルゼンチン牛肉業界では、ヒルトン枠輸出が枠外輸出と比較して、高い利益を
期待できることから、EUによる牛肉等の輸入停止措置の解除が待ち望まれている。
この解除の時期について、同国の畜産関係者の多くは、2月下旬から3月頃と見込
んでいる。また、昨年3月に発生した口蹄疫発生状況について、アルゼンチン農畜
産品衛生事業団(SENASA)が1月8日に発表したプレスリリースによると、同
日時点の月別の口蹄疫発生件数(農場単位)は、3月が203件、4月が360件、5月
が604件、6月が540件、7月が324件、8月が68件、9月が17件、10月が1件、11
月が7件、12月が1件、1月が0件となっている。また、第2回目の口蹄疫ワクチ
ンの配布は12月31日で終了し、ウイルスの活性件数も0件と報告されている。

 アルゼンチンでは、EUによる解禁が待望される一方、輸出市場の閉鎖により、
肉牛生産者の多くが国内仕向け用の肉牛生産にシフトしたことから、EU向けの重
量の重い去勢牛の供給が不足しているという懸念もある。また、政治的・経済的混
乱が続く同国で今年初めに発足した新政権が、ヒルトン枠の新配分方法を定めた決
議内容を見直す可能性もあり、ヒルトン枠の配分や輸出を巡っては、依然、課題が
多いとされている。


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