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フィードロット飼養頭数が回復の兆し(豪州)


【シドニー 幸田 太 5月9日発】豪州フィードロット協会(ALFA)は5月
7日、豪州食肉家畜生産者事業団との共同調査による四半期ごとの全国フィードロ
ット飼養頭数調査の結果を発表した。これによると、総飼養頭数は2002年3月末時
点で65万4千頭となり、日本での牛海綿状脳症(BSE)発生で影響を受けた昨年
12月末時点の調査時よりも3%増加し、フィードロットでの飼養頭数の早期回復と
仕向け先の多様化が進んでいることが示されたものとしている。

    州別飼養頭数内訳(単位:頭) 
   3月末 前期比
増減率
前年同期比
増減率
NSW州 240,512 1% △ 8%
QLD 307,609 3% 10%
VIC 41,883 2% △11%
SA 25,331 4% △25%
WA 38,846 14% 18%
合計 654,181 3% 0.2%
   仕向け先別飼養頭数内訳(単位:頭)
日本向け 325,871 △10% △ 7%
韓国向け 20,526 33% 31%
他輸出 18,488 △40% 443%
輸出計 364,885 △11% △ 2%
国内向け 274,790 25% 0.6%
その他 14,506 83% 224%
合計 654,181 3% 0.2%
 フィードロット飼養頭数を州別に昨年12月末と比較してみると、総数で全国の約
5割を占めるクイーンズランド(QLD)州では、3%の増加に転じた。昨年12月
末時点では、26%減少と日本のBSEの影響を大きく受けていた。その他の州にお
いても、ビクトリア州2%、ニューサウスウェールズ州1%、サウスオーストラリ
ア州4%、西オーストラリア州14%と増加率に差はあるもののすべての州で増加し
ている。

 フィードロットの収容許可頭数に対する利用率は全体で74%、QLD州では72%
となっており、前回調査の69%から5%の増加が見られる。

 また、仕向け先別に見ると、輸出向け飼養頭数が36万5千頭でフィードロット飼
養頭数全体の56%、国内向けが27万5千頭同42%となり、12月末と比較して輸出向
けが11%の減少、国内向けが25%の増加となっている。輸出向けでは飼養頭数全体
の約5割を占める日本向けの不調が響いている一方で、韓国向けが33%増加してい
る。ちなみに昨年12月時点では日本向けが前期と比較して12%減少していた。

 国内向けが大幅に増加している要因としては、輸出向けに導入した素牛を先行き
の不透明感から肥育期間を短縮して国内市場へ販売する動きが活発化したことが挙
げられる。また、最近では小売大手のウルワースやコールズが均質な肉質を求める
顧客からのニーズにこたえるため、60日前後の比較的短期で肥育した肉牛の供給を
求める動きもあると言う。年々、国内向けへの出荷頭数は増加傾向にあり、国内で
も徐々にフィードロットで飼養され生産された牛肉が浸透し始めたことが考えられ
る。

 ALFAでは、フィードロット業界が多様なニーズにこたえる自助努力を行った
ことで、日本向け減少の影響は予想以上に少ないとした上で、日本向けも間もなく
回復すると希望的な予想をしている。

 通常日本向けの肥育期間はおおむね6ヵ月以上、長いもので約1年である。フィ
ードロットは、半年以上先を見据えながら素牛の導入計画を作成する。このフィー
ドロット飼養頭数回復の兆しが確実なものとなるか今後の行方を注目したい。


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