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EU、特定危険部位(SRM)を一部見直しか


【ブラッセル駐在員 山田 理 11月14日発】  EUの科学運営委員会(SSC)
は、11月7、8日に開催された会合において、反すう動物の組織における伝達性海
綿状脳症(TSE)の感染性分布に関する見解を、最新の科学的知見に基づき更
新し、これを採択した。

 この見解の中で、@すべての月齢の牛の扁桃は、(BSE感染)リスクを有す
るものとして見なされるべきである、Aタン(舌)は、中枢神経系や扁桃との交
差汚染が回避される場合には、すべての月齢においてリスクを有しない、Bチー
ク・ミート(ほほ肉)は、交差汚染を避けるための幅広い予防的措置が実施され
る場合には、リスクを有しないことなどが示された。

 牛の扁桃は、牛海綿状脳症(BSE)の感染性を持つことが明確に認められて
いなかったが、予防的措置として、BSEの発生の多いイギリスおよびポルトガ
ルを除くEU加盟国では、12ヵ月齢超の牛に関して特定危険部位(SRM)の1
つとされている(イギリスおよびポルトガルでは6ヵ月齢超)。しかし、イギリ
ス食品基準庁(FSA)から今年10月、牛の扁桃にBSEに関する低い感染性が
認められたとの調査結果がSSCに報告され、これについての検討が行われてい
た。今回のSSCの見解更新を受けて、今後、すべての月齢の牛の扁桃をSRM
とするEU規則の改正準備が進められるものとみられる。早ければ、12月17、18
日に開催が予定されている食肉安全性などに関するEU法令を審議するEU委員
会内の法制委員会であるフードチェーン・家畜衛生常設委員会で審議されるとの
見方もある。SRMの見直しは、すべての月齢の牛の腸(十二指腸から直腸まで)
がSRMに加えられた2001年1月以来のことである。

 また、牛の扁桃にBSE感染リスクが認められたことで、食用とされている牛
のタンを頭部から取り外す際のカットラインの変更が見込まれる。頭部から取り
外されたタンの根元に扁桃の組織の一部が残らないよう十分な余地を取るため、
カットラインを従来の位置から舌先側にずらすことが検討されている。ただし、
この措置の結果、取り外されるタンの長さが短くなることは避けられないものと
みられる。

 チーク・ミートに関しては、ドイツ連邦消費者健康保護・動物薬研究所(Bv
GG)が今年4月、牛の頭部からのチーク・ミートの採取には、BSE感染リス
クを有する組織との汚染の可能性が否定できないことから、予防的措置を条件付
けることが必要であるとした報告書を取りまとめた。ドイツ連邦政府は翌5月、
EU委員会に対し、BvGGの報告書に関するSSCの見解を提示するよう要請
していた。今回のSSCの見解では、こうした予防的措置に関して、と畜場等の
現場における実施可能性に疑問を呈し、具体的に必要とされる予防的措置に関し
て言及していないものの、こうした予防的措置の実現可能性の検証がまず必要で
あることは認めている。こうしたことから、EU委員会は、今後、チーク・ミー
トの頭部からの採取について、BSE感染リスクを有する組織との汚染に関する
リスク評価の実施を求められるものとみられる。


(参考)EUにおける牛のSRMリスト
全加盟国

 ・  12ヵ月齢を超える牛の頭がい(脳および眼球を含む)、扁桃、せき柱、 (腰椎横突起および尾椎を含まず、背根神経節を含む)、せき髄

 ・ すべての月齢の牛の腸(十二指腸から直腸まで)

イギリスおよびポルトガル

・  上記に加え、6ヵ月齢を超える牛の頭部(舌を除く)、扁桃、胸腺、脾臓、せき髄



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