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フランス イギリス産牛肉の輸入禁止措置を解除


【ブラッセル駐在員 関 将弘 10月10日発】 フランス政府は、イギリス
における牛海綿状脳症(BSE)の発生に伴い講じてきたイギリス産牛肉
の輸入禁止措置について、今月2日解除を決定した。これは、フランス食
品安全庁(AFSSA)により先月下旬に提出された、イギリス産牛肉の
輸入が、フランス消費者の安全性を害するものではないとの意見を踏まえ
たものである。今回の解除により、EU加盟国でイギリス産牛肉の輸入を
禁止している国はなくなる。

 EU委員会のデビッドバーン保健・消費者保護担当委員は、今回のフラ
ンス政府の決定に対し、歓迎するとともに、EUの科学的見解の正当性が
証明されたことを喜ぶ旨のコメントを発表している。

 また、イギリス政府は、3年以上にわたり、イギリス牛肉産業に暗い影
を落としていた課題が解決したことは非常に喜ばしいことであるとし、さ
らに、一刻も早く輸入禁止措置が解除されイギリスの輸出業者が失った市
場を取り戻し、世界で最も安全で高品質の牛肉の一つであると認められた
イギリス産牛肉を供給できるようになることを楽しみにしていると述べた。
我々はEU以外の国への輸出が可能となるよう働きかけを続けるとのコメ
ントを発表している。

 一方、イギリスの生産者団体は、フランスが当該輸入禁止措置の解除を
行わないためEU委員会が、一日当たり158,250ユーロ(100,000ポンド)
の罰金を課すよう欧州裁判所に対し要求していたことに関連して、罰金が
課せられる直前にフランスが禁止措置を解除したことは到底受け入れられ
るものではないとフランスがこれまで講じてきた措置を厳しく非難するコ
メントを発表している。また、今回のような事態の再発を避けるためにも
EU委員会は迅速な懲罰対応を実施できるようシステムを変更すべきであ
るとしている。
 
 フランス農業省は、今回の解除決定に関連し、ゲマール農相が、ドイツ、
イタリア、スペインおよびフランスで既に行われている24カ月齢以上の家
畜についての検査を、すべてのEU加盟国が一致して実施するようEU委
員会に求めることとしていることを公表した。

 なお、フランスは、イギリス産牛肉にとって輸入禁止措置以前、EU域
内向け輸出の半分を占める最大の市場であったが、EU委員会がイギリス
産牛肉の輸出禁止措置を行った96年3月以来、輸出禁止措置が解除された
99年8月以降も、輸入禁止措置を続けていた。このため、2000年1月EU
委員会が、フランスを欧州裁判所に訴え、2001年12月には欧州裁判所より
当該輸入禁止措置が違法であるとの裁定が下されていた。こうした裁定に
もかかわらず、フランスは、当該措置を今日の解除決定まで取り続けてき
た。これは、フランスにおいては、食品の安全性に関する法規制について
は、AFSSAの見解なしには修正ができないこととされているためであ
り、フランス政府は今年6月、AFSSAに対してイギリス産牛肉につい
ての安全性についての意見を求めていた。
 

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