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フィードロット飼養頭数、輸出向けが国内向けを下回る(豪州)


フィードロット飼養頭数、2期連続で減少

  豪州フィードロット協会(ALFA)は8月6日、豪州食肉家畜生産者事業団(
MLA)との共同調査による四半期ごとの全国フィードロット飼養頭数調査の結果
を発表した。これによると、総飼養頭数は2003年6月末時点で66万8千頭と、前回
調査(3月末時点)から3%減少し、2期連続の減少となった。また、前年同期比
では9%減となった。

  
州別飼養頭数    (単位:頭)
区分 6月末 前回比
増減率
前年同期比
増減率
NSW州 247,014 ▲7% ▲1%
QLD 343,817  2% ▲11%
VIC 36,583 ▲22% ▲21%
SA 12,713 ▲9% ▲24%
WA 27,468  31% ▲20%
合計 667,595 ▲3% ▲9%
仕向け先別飼養頭数   (単位:頭)
日本向け 288,283 ▲9% ▲19%
韓国向け 13,314 47% ▲34%
他輸出 21,859 ▲40% 8%
輸出計 323,456 ▲10% ▲19%
国内向け 335,300 5% 8%
その他 8,839 65% ▲66%
合計 667,595 ▲3% ▲9%
  
  フィードロット飼養頭数を州別に3月末と比較すると、豪州全体の約5割を占
めるクインズランド(QLD)州は、フィードロットの増設で2%増となったが、
同じく約4割を占めるニューサウスウエールズ(NSW)州では、7%減となっ
た。前年同期と比較するとすべての州で減少している。


日本向け頭数、前年同期比19%減

 一方、仕向け先別に見ると、輸出向け頭数は3月末と比較して10%減の32万3
千頭(フィードロット飼養頭数全体の48%)、国内向け頭数は5%増の33万5千
頭(同50%)となり、調査開始以来、初めて輸出向け頭数が国内向け頭数を下回
った。

  また、日本向け頭数は3月末に比べ9%減、前年同期比では19%減の28万8千
頭と大幅に減少した。近年増加傾向にあった日本向け頭数は、1998年9月調査(
27万9千頭)以来の低い水準となった。

  MLAでは、輸出向け頭数が減少した要因は、前回調査時と同様に、@豪ドル
高 A干ばつによる飼料価格の上昇などによるコスト増 B牧草不足による牛の早
期導入などを要因とする導入素牛の発育状態の悪さ C素牛価格の値上がり−によ
るとしている。

  国内向け頭数が増加した要因は、干ばつにより牧草不足が生じたことから、国
内需要に対応するため、国内市場向け肉用牛をフィードロットに導入し飼育した
ためとみている。

 なお、フィードロットの収容可能頭数に対する利用率は、前回調査と比べ3%
減の全体で73%となっている。


穀物価格の低下から今後は飼養頭数増加か

  ALFAのマコノーチ会長は、現在豪州のフィードロット部門が抱える問題と
して、上記の他に、主要牛肉輸出先である日本や韓国の消費の低迷や日本の冷蔵
輸入牛肉に対する関税緊急措置発動の牛肉消費への影響を挙げている。これらの
ことから、輸出向け頭数が国内向け頭数を下回る状況は、次の調査(9月末)で
も続くとみている。ただし、冬の終わりから春にかけての降雨状況や日本市場な
どの動向によると前置きしながらも、最近の降雨により穀物価格が低下してきて
いることから、「年末に向かっては、飼養頭数の増加が期待できる」と述べてい
る。

【シドニー駐在員 井上 敦司 8月21日発】   

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