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EU農相理事会、口蹄疫対策の改正案に合意


口蹄疫対策の改正案に合意
  EU農相理事会は6月12日、口蹄疫(FMD)対策に関する規則の改正案に
合意した。今回の改正案によれば、EUではワクチンの緊急接種が発生時にお
けるFMD対策の重点措置となる。

  FMDは、人間の健康にとっては危険な病気ではないが、家畜への伝染力が
強く、その発生は、農村地域および国家に対して経済的、社会心理的に非常に
大きな影響を及ぼすこととなる。



ワクチン緊急摂取が対策の重点に

  EU委員会によれば、今回の改正案は、92年より実施してきた「予防的ワク
チン接種の禁止」から離脱するものではなく、発生時における対策の重点をワ
クチンの緊急接種に移すものであるとしている。また、このようなワクチンの
緊急接種という方法を採ることができるようになったのは、これまで実施され
てきた試験によりワクチン接種家畜とウイルス感染家畜を区分することができ
るようになったこと等によるものであるとしている。

  新たな措置の概要は以下の通り。
  
 @ 衛生当局による、発生確認前の移動禁止地域の設定および影響を受ける加
    盟国内の広い範囲での一時的移動禁止措置の実施
 
 A 発生により移動制限区域とする地域とこれ以外の地域への地域区分
   (regionalization)の導入
 
 B 診断設備、診断試薬の整備
 
 C ワクチンバンクの運営と加盟国等による利用

 今回の農相理事会の合意を受けて、欧州委員会のバーン保健・消費者保護担
当委員は、「今回の改正はFMD清浄化の維持または発生した場合の早期の地
位回復を目的としている。ワクチンの緊急接種は最後の手段ではなく対策の最
前線に変わった。今回の合意は真の改正である」とのコメントを発表している。
 
  なお、改正案は今後の農相理事会で正式に採択され、2004年の7月から適用
される。




◎ EU農相理事会、CAP改革では合意に至らず
  EU農相理事会は、6月17日から19日に行われた会合でも、CAP改革案
について合意に達せず、6月25日に再び召集されることとなった。今回の理
事会は6月11日および12日の会合で合意されなかったことから再度開催され
たものであった。

 今回の会合では、議長(ギリシャ)より18日および19日に妥協案が示され
た。妥協案のうち畜産関係の主なものは、以下の通り。

@ 繁殖雌牛奨励金:現状のまま継続することも可能とする。(当初案;単
  一の直接支払いに統合)

A 羊、山羊への奨励金:現行の50%の助成水準で継続することも可能とす
  る。(当初案;単一の直接支払いに統合)

B 乳製品の介入価格
  ・バター:2004年から年間7%、4年間削減(当初案:2004年から年間
       7%、5年間削減)
  ・脱脂粉乳:2004年から年間5%、3年間削減(当初案:2004年から3.5
               %、5年間)



【ブラッセル駐在員 関 将弘 6月20日発】

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