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天候に恵まれ史上最大の穀物生産を予測(ブラジル)


第3回生産状況調査で1億1,240万トンを予測

 ブラジルのロドリゲス農相は2月27日、2002/03年度の第3回生産状況調査につ
いて、「ルラ政権における初めての主要穀物収穫は、1億1,240万トンの新記録を樹
立するであろう」と発表した。

  国家食料供給公社(CONAB)が 2月9〜15日に行った第3回調査は、作付後の
生育状況が調査されることから現実に近い生産量が予測されることになる。CONAB
によれば、主要穀物(油糧種子を含む13品目)の作付面積は、前年度に比べ220万
ヘクタール(前年度比5.4%)増の4,230万へクタールとなり、良好な天候条件の下
生産量は前年度を1,580万トン(同16.3%)上回る1億1,240万トンに達するものと
予測されている。

  前年度下半期の作付初期の段階では、南部地方の降雨過剰、中西部地方の乾燥な
ど天候不順による作付けの遅れで、かなりの減産が予想されていたが、その後天候
は回復し生育が順調に推移した。主要生産地帯の中央〜南部地方では、2月の調査
時に二大作物であるトウモロコシと大豆の1ヘクタール当たり収量が前年度を上回
るところも確認されており、作付面積の増加と合わせて、大幅な増産予測となった。

  なお、北東部は全般的に水不足で条件は良好でないが、同地域の大豆およびトウ
モロコシ生産量の全国に占める割合は10%以下であるため影響は少ない。



トウモロコシは年間消費量を上回る予測
 
 第1期作(夏作)トウモロコシは、大豆に押されて作付面積が前年度からわずか
に減少したものの、良好な天候の下で1ヘクタール当たり収量の増加により前年度
比10%増の3,190万トンと予測されている。また、大豆の裏作として2月から作付け
が始まった第2期作トウモロコシも、端境期における高値に刺激され、作付面積が
増加(前年度比11.4%)し、1ヘクタール当たり収量も増加することから、前年度比
45.1%増の約 900万トンの収穫が見込まれている。この結果、生産量は合わせて
4,080万トンと予測され、年間消費量約 3,660万トンを上回ることになる。ただし、
天候上のリスクが大きい第2期作については、乾燥や降霜など予測できない要素が
あり、あくまで希望的観測である。

 
  
大豆生産量は前年度に引き続き記録更新か

  ブラジル穀物で最大の生産量を誇る大豆は、前年度比18.5%増の4,960万トンと、
前年度の史上最高の記録を更新すると予測されている。これは世界的な大豆需要の
増加、特に中国における搾油原料、ヨーロッパにおける肉骨粉の代替となる植物性
タンパク質などの需要増を背景に、米や綿花栽培からの移行と、良好な天候、品種
改良、栽培管理の向上などにより1ヘクタール当たり収量が約7.7%増加すると予
測されていることによる。なお、中央〜南部地方での病虫害の発生による農薬の使
用や、昨年10〜11月の降雨不足のため作付けが遅延したバイア州やマットグロッソ
州における再作付けでコストが増加しているが、生産者価格もドルベースで前年比
25%高、レアルベースで同 85%高となっており、収益性の高い作物として生産者の
関心を引き付けている。



◎アルゼンチンのブラジル産丸鶏に対するアンチダンピング問題が決着

  両国の現地報道は、ブラジル産丸鶏に対するアルゼンチンのアンチダンピング措
置を審査中のWTO紛争処理小委員会(パネル)(本紙通巻第532号参照)は、アルゼ
ンチンの措置は国際規則に違反するものであると事前報告書の中で評価しており、
数週間後には最終報告がなされると報じている。このような中、アルゼンチンは2
月28日の官報で、独自の再調査に基づきアンチダンピング措置を終了するとした決
議を公布した。

【ブエノスアイレス駐在員 犬塚 明伸 3月5日発】 


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