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干ばつ緩和でフィードロット飼養頭数が減少(豪州)


フィードロット頭数、3期連続減少

  豪州フィードロット協会(ALFA)は10月29日、豪州食肉家畜生産者事業団(MLA)
との共同調査による四半期ごとの全国フィードロット飼養頭数調査の結果を発表した。こ
れによれば、総飼養頭数は2003年9月末時点で61万頭と、前回調査(6月末時点)から9
%減少し、3期連続で減少を記録するとともに、2000年12月末以来最も低い飼養水準とな
った。





  フィードロット飼養頭数を州別に前回調査と比較すると、肥育素牛のひっ迫した供給を
背景にクインズランド(QLD)州を除き対前年、対前期比ともすべての州で減少した。

  素牛供給のひっ迫は、主に7月から8月初旬にかけて各地で降雨に恵まれ、多くの生産
者が若齢牛を保留したことによる。これらの7〜9月における家畜市場価格は10%以上値
上がりしており、中でも未経産牛の値上り率が高いことに生産者の保留意欲が強いことが
顕著に表れている。




稼働率も低水準、小規模での減少が顕著
 
 フィードロットの収容可能頭数に対する稼働率は全体で67%と前回調査から6ポイント
減少し、飼養頭数同様、QLD州の78%を除き全般的に低い水準にある。

  今回の調査で特徴的なのは、小規模なフィードロットにおける飼養頭数の減少である。
特に500頭未満の施設では、52%も飼養頭数が減少している。ALFAでは、素牛や飼料
を収益性の確保できる価格で調達するのが困難な小規模業者において、その多くがこの1
年で相当な頭数を縮減した表れとしている。




仕向け先シェアは従来パターンに

  仕向け先別に見ると、輸出向け飼養頭数が35万6千頭でフィードロット飼養頭数全体の
58%、国内向けが24万6千頭で同40%となった。輸出向けでは、その大部分を占める日本
向けが43%から52%へとシェアを回復したことが反映された。日本向けの増加についてM
LAは、対日牛肉輸出価格の上昇や飼料穀物の値下がり、重量級の肥育素牛価格の値下が
りを挙げている。

  前回調査までの国内向けの増加傾向は、放牧飼養が困難な干ばつ時における避難的な措
置として「飼料付き牧場」であるフィードロットへの導入が盛んに行われたためとみられ
ている。国内向けが輸出向けを上回った前回から、干ばつの緩和も反映して再び輸出向け
が国内向けを上回る「通常の」仕向け構成に戻った。

 


先ずは円滑な飼料調達が課題か 

  ALFAでは、「フィードロット業界は、飼料が十分に供給される時期を待ち望んでい
る」とした上で、「今後、季節的な条件が生産者の意向や肥育素牛の調達に影響を与える
ため、素牛供給は州間で著しく変動する」とみている。

  天候に左右される面が多い飼料コスト問題が緩和されたとしても、高値を伴う素牛不足
は一朝一夕には解消しないため、今後もフィードロット業界は収益性の確保と施設の稼動
率の調整に苦心することが予想される。



【シドニー駐在員 粂川 俊一 11月5日発】   

 
 

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