ALIC/WEEKLY


EU委、2004年の家畜伝染病対策に関する予算を採択


家畜伝染病対策関連予算は全体で約1億4,700万ユーロ
  EU委員会は10月16日、2004年の伝達性海綿状脳症(TSE:牛海綿状脳症(BS
E)や、めん羊やヤギのスクレイピーなど顕微鏡下で脳に確認される海綿状の疾病の
総称)やその他の家畜伝染病対策に関する予算を採択した。この予算の総額は、1億
4,693万5千ユーロ(約188億1千万円:1ユーロ=128円)となっている。

  今回採択された2004年の予算額は、来年5月から新たにEUに加盟する10カ国分を
含んでいる。加盟予定国は、加盟法(Act of Accession)の第32条に基づき、家畜
伝染病対策に関する予算について、現加盟国と同様の扱いを受けることとなっている。
なお、加盟予定国の伝染病対策については、その予算枠は定められたが、その具体的
な支出内容については、加盟後に示されることとなっている。

  予算を採択するに当たりEU委員会は、加盟国および加盟予定国から提出された
2004年の家畜伝染病検査計画について、各国の疫学的な状況および対策家畜の飼養頭
数を考慮し評価した上で、予算配分を採択した。


   
スクレイピー撲滅対策費が増加

  これによると、TSE監視(モニタリング)については、7,696万8千ユーロ(約98
億5千万円)、スクレイピーの撲滅対策については、1,567万5千ユーロ(約20億円)
を限度として支出されることとなっている。現加盟国15カ国について見ると、TSE
モニタリング経費については、すべての国で前年の予算を下回っている。一方、スク
レイピー撲滅対策費用については、ほとんどの国において前年の予算を上回っている。
これは従来の対策として、めん羊・ヤギにおいて、18カ月齢超の健康なものおよび農
場で死亡したものを対象とした抽出検査を実施していたが、2003年10月1日から新た
なスクレイピー対策として、感染しためん羊等がいる群では、そのすべてのめん羊等
をとう汰する対策が加わったことによるものと考えられる。

   

ブルセラ病撲滅対策に重点

 また、EU委員会は、2004年におけるTSE以外の10の主要家畜伝染病に関する68
の撲滅およびモニタリング計画(5,189万2千ユーロ(約66億4,200万円))並びに人
畜共通伝染病の防疫計画(240万ユーロ(約3億円))についても採択した。 主要家
畜伝染病の撲滅対策の中では、人の疾病(マルタ熱)の原因となるブルセラ病につい
て、全体の約56%の2,910万ユーロ(約37億2,500万円)を配分した。人畜共通伝染病
のうちサルモネラ撲滅対策費用は、現加盟国のうち5カ国に、加盟予定国のうち2カ
国に配分した。


【ブリュッセル駐在員 山ア 良人 10月22日発】

元のページに戻る