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カンクンWTO閣僚会議課題を残し閉会


カンクン閣僚会議ではドーハ閣僚宣言より後退 

  9月10日から14日まで、メキシコのカンクンで開催された第5回世界貿易機関(WT
O)閣僚会議は、「今回の後退にかかわらずドーハ閣僚宣言および決定を再確認し、こ
れを完全かつ誠実に実施することを改めて約束する」こと等を趣旨とする声明を発表
し閉会した。また、この声明では、交渉を成功させるためにはいくつかの重要分野で
の作業が必要であるとし、12月15日までに一般理事会を開催し必要な行動をとるよう
一般理事会議長に求め交渉そのものは継続するとの方針を確認した。

 
 
米国は農産品の輸出機会の増大に引き続き努力

  べネマン米国農務長官は9月17日、畜産に関する今後のすうせいについて発言した。
この中で先週メキシコで開催された第5回WTO閣僚会議について、「米国は農業を含め
あらゆる分野について高い野心を抱いて臨んだ。農業は今次交渉の輪留めであったが、
交渉決裂の原因ではない。米国は新たな市場への輸出機会の増大と既存の市場への円
滑な輸出の継続を積極的に追求し続ける」とし、今後もWTO、二国間自由貿易協定(FT
A)、地域自由貿易協定(FTAA)の3つの貿易交渉を進めていく決意を示した。

  また、ゼーリック通商代表は15日、「会議には、合意のために譲歩する姿勢を示し
た国と譲歩しないという国が参加していた。残念ながら譲歩しないという国が圧倒的
であった」とし、途上国との隔たりが依然大きいとした。



全米農業者連合はさらなる交渉の用意有り

  米国最大の農業団体で大規模経営者を主な会員とするファームビューロー(AFBF)
は15日、「全米の農業者はWTOの協議が障害に直面したことに落胆しているが、このよ
うな障害は一時的なものであると期待している。会議が破綻した原因が農業交渉では
ないということが重要である。冷却期間を置いた後、さらなる交渉のテーブルにつく
用意がある」との声明を発表した。



カナダは農業分野での一定の進展があったと評価

  カナダのバンクリフ農業大臣は15日、「カンクンではいくつかの事項について進展
があった。交渉の対象となった概観提案は重要な事項について懸念の残るものではあ
ったが明確な要素を含むものであった。残念ながら農業分野については合意に至らな
かったが、このことは農業交渉の終えんやドーハ開発計画の休止を意味するものでは
ない。WTO加盟国はドーハのマンデート(任務)を遂行するための作業を継続するで
あろう。」との声明を発表し、カナダの今次農業交渉の目的であるあらゆる形態の輸
出補助金の即時廃止、貿易わい曲的な国内補助の実質的な削減、市場アクセスの実質
的改善を追及するとの姿勢を示した。



今後も予断を許さない農業交渉 

  今回の閣僚会議では農業分野でも途上国と先進国との対立の構図が改めて浮き彫り
にされた形となったが、いずれの加盟国もわが国への農畜産物の輸出アクセスの改善
を希望しており、今回の閣僚会議が決裂したことはわが国を取り巻く厳しい状況を改
善するものではないと考えられる。むしろ、多国間での農業貿易の自由化の進展の遅
れが懸念されることから、牛肉・豚肉の関税の緊急措置に対する各国の不満あるいは
FTAにおける農畜産物の関税撤廃への圧力が高まることが懸念される。



【ワシントン駐在員 犬飼 史郎 9月17日発】

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