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EFSA、BSEの地理的リスクの再評価結果を公表


カナダ・米国は変更、豪州は不変

  欧州食品安全機関(EFSA)は8月20日、豪州、カナダ、メキシコ、ノルウェー、南アフリカ、スウェ
ーデンおよび米国の7カ国における「BSEの地理的リスク(GBR:Geographical BSE Risk)」の再評価
結果などを公表した。これによると、豪州の評価は前回と同じであるが、カナダ、ノルウェーおよび米国に
ついてはそれぞれ前回に比べリスクが高いものとなった。また、メキシコについては今回が初めての評価で
あるが、その結果は、カナダおよび米国と同じ評価分類となっている。



リスクの可能性により4つに分類 

  GBRとは、ある国のある時点におけるBSEに感染した一頭あるいは複数の牛が存在する可能性を示す
定性的指標である。また、この指標は、BSEの症状を示した牛の有無のみならず、貿易のデータなども含
めた可能性のある危険因子を系統的に評価したものである。評価はレベルTからWの4段階あり、レベルT
は、BSEに感染した牛が存在する可能性がほとんどない、レベルUは、BSEに感染した牛が存在する可
能性は少ないが、ないとは断言できない、レベルVは、BSEに感染した牛が存在する可能性はあるが、確
認されていない、または、低いレベルで確認されている、レベルWは、BSEに感染した牛が高いレベルで
確認されている −となっている。
 
  今回の評価は、欧州委員会が2003年にEFSAに対し13カ国のGBRの再評価を依頼していたことによる
ものであり、1980年から2003年の間のデータに基づいて行われたものである。なお、今回公表されていない
ボツワナ、コスタリカなど6カ国については、本年末までには公表される予定である。今回EFSAが公表
した評価は以下の通り。




  カナダ、米国については、前回(2000年)は、それぞれレベルUであったが、今回はカナダはレベルVで
あり、BSEに感染した牛が低いレベルで確認されているという評価、米国も同じレベルVであるが、BS
Eに感染した牛が存在する可能性はあるが、自国産の感染牛は確認されていないという評価であった。この
ように前回の評価と異なる理由として、前回の評価時点では、これらの国の評価に影響を与える物品を輸出
していたいくつかの国に、BSEリスクがあるとは考えていなかったためであるとしている。

 また、メキシコについては米国と同じ評価であった。



リスク高まる可能性を指摘

  今後の見通しについては、飼料の規制や、レンダリング処理対策などが現行のままであれば、BSE感染
因子の侵入および、まん延防止対策が不安定な状況にあるため、今後、豪州においては低いレベルではある
がBSEが発生する可能性があり、また、カナダ、米国およびメキシコにおいては、BSEが発生する可能
性やGBRのレベルが大きくなるとしている。



◎欧州委、マレーシア産鳥類などの輸入を一時停止

  欧州委員会は、8月19日のマレーシアでの鳥インフルエンザ発生報告を踏まえ、同国からの加工処理され
ていない羽毛や、ペット用小鳥などの輸入を一時停止する委員会決定を21日のEU官報に掲載した。なおこ
の輸入停止措置は本年の12月15日まで実施される予定である。





【ブリュッセル駐在員 関 将弘 8月25日発】

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