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欧州委員会、豚肉への輸出補助金を一時再開


例外的措置として実施
 EUの豚肉管理委員会は1月23日、豚枝肉等に対する輸出補助金の一時再開を
決定し、欧州委員会は27日からこの措置の適用を開始した。
  
  欧州委員会によれば、欧州の養豚関係者は、@ユーロが米国ドルに対し非常に
強い状態となっていることA域内の豚肉需要が停滞していること−などの困難に
直面し、豚肉価格が非常に低迷している。さらに、昨年夏の猛暑による影響で飼
料穀物の価格が上昇しているため、養豚農家の経営は非常に厳しいものとなって
いる。ただし、現在の状況は例外的なものであり、これに対処するために、例外
的措置(輸出補助金)が必要であるとしている。

  ところで、欧州では、豚肉価格の低迷を改善するため、昨年12月中旬に豚肉の
民間在庫補助(APS)の導入を決定し、実施している。欧州委員会によれば1
月23日までに既に8万5千トンの豚肉がこの対策の対象として申し込みが行われ
た。しかしながら、このAPSは、豚肉価格の下落を止めることには寄与したが
、好転させるには十分ではないとして、欧州委員会は、今回の輸出補助金の再開
に踏み切った。

  

輸出補助金の概要 
 今回の輸出補助金は、本年4月末までに、現在のEU域内(15カ国)から加
盟予定国(10カ国)および加盟候補国(ルーマニア、ブルガリアの2カ国)以外
の第3国に輸出される豚肉等の一部に適用されるものであり、補助の対象となる
部位とその補助金単価の主なものは以下のとおり(金額は100キログラム当たり)。

豚枝肉  :40ユーロ(5,400円、1ユーロ135円)

骨付きカタ:40ユーロ(5,400円)

骨付きバラ:25ユーロ(3,375円)



デンマークの関係者は不満を表明
 
 豚枝肉等に対する輸出補助金が2000年6月以来約3年半ぶりに一時再開したが
、これについて、デンマークの豚肉関連会社であるデニッシュクラウンは、「今
回の措置による当社への恩恵は、非常に限られている。なぜなら、日本向けの豚
肉(冷凍のロイン、骨なしバラ肉)等が、今回の輸出補助金の対象としていない
ためである」と不満を表している。また、同社はAPSを活用してきたが、輸出
補助金の一時再開により、APSが終了することとなり、「良い対策(APS)
が、それより劣る対策(輸出補助金)に取って代わられた」とのコメントを公表
している。



◎ 欧州委員会タイ産鶏肉等の輸入を停止

  欧州委員会は1月23日、タイにおいて鳥インフルエンザの発生が確認されたこ
とから、鶏肉および鶏肉製品(70℃以上で加熱処理されたもの等を除く。)の輸
入を一時停止することを決めた。これにより本年1月1日以降にタイ国内で食鳥
処理されたものは、輸入できないこととなった。

 なお、EUはタイから鶏肉や鶏肉製品を2002年に12万トン、2003年の1月から
10月までに12万8千トン輸入している。



【ブリュッセル駐在員 関 将弘 平成16年1月28日発

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