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LPガス価格上昇による養鶏産業への影響を懸念(アルゼンチン)


  
LPガスの価格が4〜5月に上昇 

  アルゼンチンでは、最近LPガスの値上げが話題となっている。
 
  アルゼンチン国家統計局(INDEC)によれば、経済危機による通貨切り下げ直前の2001年12月
と2004年4月を比較した場合、自国通貨ベースで34.7%高となり、また本年4月および5月の前
月比上昇率はそれぞれ4.8%、4.1%となっており、それ以前の2月0.4%、3月0.2%より大きく
上昇している。

  特に10キログラムサイズの小型LPガスは大型サイズを購入できない貧困層での利用が多く、
家計における負担割合が増加していると言われている。LPガス価格は公式に発表されていない
ため、取り扱い業者からの聞き取りによれば、昨年まで18ペソ(約666円、1ペソ=37円)前後
であったものが、年初めから徐々に値上がりし、現在25ペソ(925円)前後となっている。

  これに伴い、5月11日付けで経済生産省は、プロパン、ブタン、石油ガスなどの輸出税を5%
から従前適用していた20%に引き上げ、輸出の抑制を図る決議を定める(ちなみに石油および原
油は同20%から25%へ引き上げ)とともに、5月13日には同省エネルギー庁とアルゼンチン液体
ガス企業協会(仮訳)は、@10キログラムサイズのものを前回2003年8月に結んだ協定価格
(2003年8月1日〜10月31日で実施)と同じ18ペソ程度で販売 A前回300カ所での販売を今回は
600カ所に倍増 B2004年5月13日〜9月30日まで実施−する協定を結んだ。

  なお、一部の過激なデモ隊は6月11日、石油・天然ガス製造販売会社に対して暴動を起こし、
無料配布などを要求している。

    

中小規模のふ化業者への影響を懸念

  このような中、ブエノスアイレス州およびラパンパ州農牧連合会(CARBAP)は6月1日に、「ガ
ス値上げに伴い養鶏産業は警戒」という題名のプレスリリースを公表した。

  その概要は、以下の通り。

 「石油およびLPガスは、民間企業にとって輸出製品であるため、その価格は国際価格に影響さ
れ、最近の値上げは石油価格の上昇に起因しており、またその精製などの製品化については国家に
より規制されていない。

  液体ガスは、初生ひなの飼育プロセスにおいて、基本的、不可欠、代替不能の生産投入資材であ
り、コスト削減のためその消費量を減少させて育すう温度などを下げることは、初生ひなの死亡率
の大幅な上昇および病気のまん延の原因となり、特に中小規模の生産者における影響が懸念される。

  よってCARBAPは、LPガス価格について、養鶏産業の特殊な生産形態を勘案しつつ、近年問題と
なっている国家不干渉の態度を変更するよう、政府およびエネルギー庁に要請する」。

  またプレスリリースには、LPガスの入手に問題が生じる養鶏施設が既に出ており、最近の寒さ
により、養鶏産業に重大な影響をもたらす可能性があることも指摘しており、今後本格的な冬に向
かうアルゼンチンにおいて、その動向が注目される。



◎ブラジルにカナダからミッションが来訪

  6月8日ブラジル農務省農牧防疫局(SDA)に、カナダ食品検査庁(CFIA)の長官率いるミッショ
ンが、二国間の動植物衛生措置にかかわる協議を行うために来訪した。

  カナダミッションは、エンドウ豆、畜産物などをブラジルに輸出することを希望しており、一方
ブラジルは食肉、木材、リンゴ、果実などの輸出を拡大したい意向を表明している。

  会議において、リスク分析、二国間の動植物衛生条件を定める手法、遺伝子組み換え体に関する
カルタヘナ議定書への対応状況、国際フォーラムにおける動植物衛生に関する両国間の協力−など
が議題に挙がった。さらにSDAとCFIAの間で動植物衛生に関して両国で共通した関心テーマについ
て、コミュニケーションを緊密にするための担当者が指名された。



【ブエノスアイレス駐在員 犬塚 明伸 平成16年6月16日発】 


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