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EU、畜産副産物規則を輸入品にも適用


5月1日から畜産副産物規則を輸入品にも適用

  EUでは、5月1日から食用以外の畜産副産物の輸入品について、食用以外の畜産副産物に
関する衛生基準を定める規則(EC/1774/2002)が適用されている。
 
  EUは2002年10月、EC/1774/2002を制定し、一部のものを除き食用に適した家畜より得ら
れたもののみを輸入の対象とすることなど、食用以外の畜産副産物の輸入について。を定めた。
 
  EC/1774/2002は、2003年5月1日から適用されているが、輸入に関しては、輸出国からの
要請や本規則の円滑な実施のため移行措置が適用されてきた。この移行措置は、従前から食用
以外の畜産副産物の輸入を規定している16の規定を2003年12月31日まで適用し、食用以外の畜
産副産物の輸入については、EC/1774/2002の対象外とするものであった(EC/812/2003)。
 
  その後、欧州委員会は2003年12月、この移行措置期間を2004年4月30日まで延長することと
した(EC/2268/2003)。
 

工業製品向け畜産副産物の輸入は可能に 

  EC/1774/2002では食用以外の畜産副産物を、家畜、公衆衛生または環境への潜在的危険性
の大きさに基づき3つに分類している。カテゴリーTは、危険度が大の分類であり、特定危険
部位(SRM)を含む畜産副産物が該当する。カテゴリーUは、危険度が小の分類であり、農
場でへい死した家畜や家畜疾病(TSEを除く。)のまん延抑制などのため農場でと畜された
家畜などからの畜産副産物が該当する。カテゴリーVは、食用のためにと畜された健康な家畜
から生じた畜産副産物などが該当する。

  5月1日からは、食用に適した家畜より得られる畜産副産物のみが輸入の対象となったので、
カテゴリーT及びカテゴリーUから得られた畜産副産物は輸入の対象外となる。しかし、一定
の管理が確保されているものであり、工業製品(例:塗料、潤滑油、タイヤ、皮製品など)に
使用する目的であるものについては、これらが表示され証明できるものは輸入ができることと
なった。これに規定された畜産副産物は、使用が禁止されている動物用医薬品を使用した家畜
から得られた皮革、カテゴリーTに分類される畜産副産物からレンダリング処理された脂肪、
反すう動物の腸、骨などである。

  
写真用ゼラチンの輸入の取扱い

  写真の印画紙の結合材としてゼラチンが利用されている。写真用のゼラチンのEUへの輸入
については、これまでは移行措置として従来どおり輸入が行われてきた。5月1日からは、S
RMであるせき柱を含む原料から製造されたものであっても、日本と米国からは写真用ゼラチ
ンの輸入が認められることとなった。これは、フランス、オランダ、イギリスでの写真フィル
ムの製造に向けられる。


特定の国のものには移行措置期間を条件付で再延長

  食用以外の畜産副産物の輸入に当たっては、EC/1774/2002の規則が5月1日から適用され
ている。第三国においても、畜産副産物の処理工場でカテゴリー別に分離して製造されなけれ
ばならない。しかし、豪州、カナダ、中国、米国では、当面の間移行措置が必要であるとして、
畜産副産物処理工場のカテゴリー別の分離が完全に行われていなくても、最低限の分離措置(
カテゴリーVとカテゴリーT及びUとの交差汚染防止のための分離が明らかであるものなど)
が確実に行われていること、これらの国の主管官庁による証明書が添付されることを条件とし
て、2005年10月31日まで輸入を続けることができることとなった。これにより、血液製品
(blood products)や油脂などの輸入が引き続き認められることになる。




【ブリュッセル駐在員 山崎 良人 平成16年5月5日発】

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