ALIC/WEEKLY


オランダで家畜飼料からダイオキシンを検出


ジャガイモ副産物からダイオキシンを検出

  オランダ農業・自然・食品安全省(LNV)フェールマン大臣は11月4日、同国においてジャガイモの
副産物からダイオキシンが検出された問題について、経緯や対策などに関する文書を公表した。
 
 これによると、オランダ食品消費者保護安全庁(VWA)は10月18日、酪農家から集荷した牛乳に対す
る定期検査において、人間の健康に害を及ぼさないとされる濃度(脂肪1グラム中に3ピコグラム)を越
えるダイオキシンを検出したと公表した。
 
 さらに調査を進めたところ、今回の汚染源は家畜の飼料として利用されたジャガイモの副産物であるこ
とが分かった。このため、当該ジャガイモの副産物を製造した加工会社についても調査を行った結果、11
月2日、ジャガイモの洗浄と選別を行う過程で使用する泥灰土(marly clay)によってジャガイモ副産物
が汚染されたことが確認された。



通常の消費量では、人体への影響なし 

  問題の加工会社からのジャガイモの副産物を動物の飼料として利用した酪農家について調査したところ、
許容最大値を超えていたため、現在出荷制限の対象となっている2戸を除くほかのすべての酪農家のダイ
オキシンレベルは、許容最大値未満であった。

 オランダ国立衛生環境研究所(RIVM)によれば、牛乳、食肉、鶏卵については、通常の消費量であ
れば、人間の健康に影響を与えるものではないとしている。

 しかしながら、LNVは、肉に含まれるダイオキシンのより正確な値を把握するために、サンプルを集
め、分析試験を行っているところである。さらに、この結果が出るまでの間は予防措置として、当該農家
からの動物および動物由来の製品の出荷制限措置が講じられている。

 なお、LNVは、人間の消費に向けられるジャガイモ製品にも、微量のダイオキシンがあったことが分
かったが、健康に影響を及ぼすレベルではないとしている。

 また、VWAは、問題のジャガイモ加工会社の3カ所の加工工場と2カ所の中間保管施設についても、
通知があるまで、ジャガイモ副産物の流通を停止するよう命じている。



EUのトレーサビリティおよび早期警戒のシステムは適切に機能 

  欧州委員会は11月5日、オランダでのジャガイモの副産物からダイオキシンが検出されたことを受け、
欧州の食品と飼料のための早期警戒システム(European Rapid Alert System)を通じ、ジャガイモの副
産物の流通状況を追跡中であることを発表した。この副産物を、動物用の飼料として利用したオランダ
162戸、ベルギー8戸、ドイツ3戸の畜産農家の動物および動物由来の製品は、各国主管官庁により出荷
制限措置が講じられている。

 この件に関して、デビッド・バーン委員(保健・消費者保護担当)は、「加盟国の主管官庁と欧州委
員会は、消費者が危険にさらされていないことを確実にするために緊密に協力している。これまで、わ
れわれのトレーサビリティと警戒通知のシステムは適切に機能している。フードチェーンでの消費者の
信頼を維持することが極めて重要である。」とコメントしている。



出荷制限措置を一部解除

  LNVは11月12日、これまでに出荷制限措置の対象となっていた畜産農家のうち、88戸の農家につい
ては、飼料や食肉の分析結果が許容範囲内であったため、このほかの8戸の農家は、問題となる飼料を
購入していないことが判明したため、それぞれの農家に対する出荷制限措置を解除した。
 
 11月12日現在、出荷制限措置の対象となっている畜産農家は、103戸となっており、これらの検査結果
は、来週後半に出るものとみられている。







【ブリュッセル駐在員 山崎 良人 平成16年11月12日発】

元のページに戻る