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対前年同期比4.4%の増 デンマーク豚肉輸出機構連合(DS:同国のと畜組合の上部団体)は先ごろ、2004年1月から7月までの 同国の豚肉輸出量(製品重量ベース、生体を含む。)を公表した。 これによれば、この期間における輸出量は約103万2千トンと、前年同期比4.4%(約4万4千トン)増と なっている。EU域内向け輸出は、ほぼ前年同期と同水準であるが、域外向け輸出が前年同期比12.7%増と なっている。 新規加盟国、EU域外への輸出が増加 輸出先別にみると、デンマーク最大の輸出先であるドイツに対しては、前年同期比2.1%(約5千トン) 増となっているものの、EU15カ国向け全体では同0.5%(約3千トン)減となっている。一方、新規加盟 国向け全体では、同12.5%(約3千トン)増となっている。 EU域外への輸出をみると、わが国に対する輸出量が約19万3千トンと同26.1%(約4万トン)増となっ ているほか、中国、香港に対する輸出も、それぞれ12.6%増、11.5%増とかなり大きな伸びを示している。 DSによれば、この期間に日本向けの輸出が大きく伸びたのは、米国における牛海綿状脳症(BSE)の 発生、わが国およびアジア諸国における鳥インフルエンザの発生の影響とともに、豚肉等に係る関税の緊急 措置が予想されたことの影響も受けているとしている。また、本年後期には、日本向けの輸出は減少し、年 間全体での輸出量は2003年に比べ2.5%増の25万トン程度になるものと見込んでいる。 一方、EU域外の輸出先として大きなシェアを占めている米国向けが、前年同期比17.0%減と大きく減少 しているものの、前年同期の増加が特に顕著であったためであり、本年は年間6万から6万5千トン程度の 通常ベースに戻るものとみている。(2003年同期においては、米国での豚肉生産が減少していたものの、米 国の対日豚肉輸出が堅調に推移していたことなどから、米国向け輸出が大きく伸びていた。)また、2004年 全体の、ロシア向け輸出は前年と同水準(7万2千トン)となるものとみている。 2005年の対日輸出は減少 DSによれば、2005年の日本向け輸出量は、@米国のBSEや、鳥インフルエンザの影響により非常に強 まった豚肉への代替需要が収まること、AEU加盟国や、チリなどとの競合が予測されること、B自由貿易 協定(FTA)を締結したメキシコ産輸出の増加が見込まれること−などから、わずかに減少する可能性が 高いとみている。 ◎牛個体識別システムに改善を要求 欧州会計検査院は11月15日、EUにおいて実施されている牛の個体識別および登録システムについての検 査報告書を公表した。報告書によると、データベースの様式などがEU全体で統一されていないことから、 加盟国間でのデータのやり取りに支障を来し、域内外での牛の移動にかかるトレーサビリティが保証されて いないと指摘するとともに、欧州委員会の規則の改善などを勧告している。 【ブリュッセル駐在員 関 将弘 平成16年11月17日発】
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