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新ロゴ名は、「HomeGrown」 トラス農相は10月7日、クイーンズランド(QLD)州ブリスベンで、新しい食品表示として100% 豪州国内で生産・加工された食品であることを示す、「オーストラリアン・ホームグロウン(Australian HomeGrown)」(AHG)のロゴの創設を支援すると発表した。 このロゴは豚肉業界が国内産豚肉の需要促進を目的に発案したもので、これに賛同する鶏肉や砂糖、 バナナ、リンゴ、水産品などの業界団体が協力して非営利団体を設立し、共同でAHGロゴを管理・運 営することとしている。 トラス農相は、このロゴの普及促進のために、連邦政府が、産業界との折半を基本に、400万豪ドル (約3億2千万円、1豪ドル=80円)を拠出すると述べた。 従来の表示方式は消費者から不明瞭との批判も 原産国表示については、豪州・ニュージーランド食品基準局(FSANZ)が定める食品基準コード (Food Standard Code)により表示が義務付けられており、取引実行改正法に基づく、表記方法として 、原料および加工が100%豪州産である場合は、「プロダクト・オブ・オーストラリア」と表示、また原 料の生産地にかかわらず、製造や加工コストの50%以上が豪州で行われた場合は、「メイド・イン・オー ストラリア」と表示することが規定されている。しかし、この表示区分については、消費者から「プロ ダクト・オブ・オーストラリア」の定義が不明瞭であるとの批判の声が挙がっており、トラス農相も「消 費者は豪州産の食品を信頼し、常に購入したがっているが、時々その食品が100%豪州産と認識するこ とが困難になることがあると我々に話している。」と述べている。 農家支援効果も期待 トラス農相は、AHGロゴの導入効果として、消費者が持つ豪州産食品の購買意欲を満たすことに加 え、それを供給する農家や他の食品産業の経営の維持に役立つとして、「消費者が、品質の良い、衛生 的で新鮮なAHGのロゴを付された食品を選ぶことが豪州の生産者を支援することになる。」と述べる とともに、消費者にその利用を訴えた。 また、今後の取り組むべき問題として、トラス農相は、@AHGロゴと既存の原産国表示「プロダク ト・オブ・オーストラリア」との関係、A知的所有権、BAHGロゴの普及促進、C卸売業者や小売業者 のような他の利害関係者からの支援−を挙げている。 豚肉業界、国産豚肉の消費拡大に期待 豪州の豚肉生産者団体であるオーストラリアポークリミテッド(APL)は同日、トラス農相が行っ たAHGロゴに対する支援声明を歓迎する意向を表明した。 APLのクック会長は、AHGロゴの導入によって、長年豪州の生鮮食品業界を苦しめてきた原産国 表示の明確性の問題が改善されるとしている。 APLによると、現在、豚肉消費量の60%以上を占める加工用豚肉は、その41.5%が輸入されている。 さらに、APLの消費者に対する調査によると、多くの消費者は、生鮮品は豪州産だと思い込んでいる ことが分かった。そのためAPLでは、小売段階で消費者に原産国の表示を課さない現在の食肉の食品 表示に大きな不満を抱いていた。クック会長は、豪州の消費者が抱く豪州産の食品への信頼や生産者を 擁護する意識に言及し、「豪州の消費者と農産物を生産する農家の間には精神的な強い結びつきがあり 、消費者にどの食品が100%豪州産の食品であるか明らかにするため、AHGのロゴを考案した。」と 述べている。 ◎豪州政府および産業界、FMDワクチン確保へ トラス農相は10月14日、国際的獣医薬品会社「メリアルオブフランス」との豪州への口蹄疫(FMD) ワクチン製造、備蓄、供給契約の調印を歓迎すると発表した。トラス農相は、「豪州は100年以上FM Dが発生していないが、もし発生した場合100億ドル(8千億円)近くの貿易上の損失が見込まれる。」 と述べ、この合意に係る費用の40%に当たる1,600万ドル(約12億8千万円)を支出するとした。なお、 交渉は豪州動物衛生協議会(AHA)がこれに当たっていた。
【シドニー駐在員 井上 敦司 平成16年10月14日発】
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