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役割分担が進むASEAN地域内協力態勢


ASEAN農相会合開催

  10月7日にミャンマーの首都ヤンゴンで開催された第26回アセアン農相会合では、農林水産・食品分
野における、アセアン地域内でのさらなる協力態勢の強化が共同声明により発表された。主な合意内容
は以下の通り。

○HPAIタスクフォースの設置

  域内で発生している鳥インフルエンザ(HPAI)制圧のため、国ごとの対策や専門的な疾病情報などを
共有することを目的に作業部会を設置して対策に当たることとする。

○食品安全基準の強化

 域内の食品安全性向上のため野菜・果物、その他の換金作物について農薬残留基準値の設定をより一
層拡大する。

○食品安全性に関する情報交換の促進

 非関税障壁によって食品・農産品の円滑な貿易が阻害されている問題を解決するために設立された
「アセアン食品安全ネットワーク」などにより、域内貿易の円滑化のための情報交換を促進する。

○家畜衛生信用基金の設立

 域内各国でまん延している、口蹄疫などに代表される家畜伝染性疾病撲滅のために、広域家畜衛生対
策と域内の連携強化を目的とする信用基金を設立することとする。

 なお、そのほかの合意内容としては農業分野の域内貿易自由化促進、CLMV(カンボジア、ラオス、ミ
ャンマー、ベトナム)各国に対する農業開発促進、東南アジア漁業開発センター(SEAFDEC)機能の強
化、などとされている。



HPAI制圧で一定の役割分担を模索するシンガポール

  農相会合に出席したシンガポール国家開発相は、この会合に先立ち、HPAI作業部会設置の提案を行う
旨を表明しており、作業部会の立ち上げはこの提案を承認した形となっている。また、10月8日に引き
続いて開催された第4回ASEANプラス3(日本、中国、韓国)農相会合における共同声明でも3カ国の
協力を取り付けることに成功した。

 同国では隣国マレーシア半島北部でHPAI発生が確認されたことを受けて、9月29日まで家きんなどの
輸入を一時停止し、鶏卵やブロイラーの国内需給が大きな影響を受けていた。また近隣諸国からの安定
的供給を確保するため、防疫措置などの点で国間の緊密な連携をとることが重要であるという立場を示
していた。

 農業部門での生産現場をほとんど持たない同国としては、域内における純食料輸入国として、この問
題に対する関与のあり方を模索しているともとれる。

 なお第1回作業部会は近日中にシンガポールで開催されることとされた。



タイは食品安全性の分野での主導を表明

 一方、米や鶏肉など域内外への輸出品目が多いタイは下記ウエブサイトで主導的に域外諸国の食品安
全基準に関する情報提供を行っている。(http://www.aseanfoodsafetynetwork.net/)

 また、この一環として、10月12日〜14日にはバンコク市内で、食品安全基準に関する国際フォーラム
が開催された。このフォーラムはFAO(世界食料農業機関)とWHO(世界保健機構)の共催によるもので、
公的機関による食品管理の強化と食品由来の伝染性疾病の監視、食品安全性に関する緊急警告システム
の今後についての議論がなされた。

 同国は2004年を食品安全年と規定し、各国との貿易協定に関する協議の進展に併せて豚肉や乳製品の
規格改正に着手するなど、食品安全性の向上のための各種取組を行っている。

 ただし、その一方で国内生産者からは省庁間(農業協同組合省と保健省)の検査の重複などによるコ
スト増大を招いているとの批判があるなど、今のところ政府の積極姿勢に対しての評価は分かれている。






【シンガポール駐在員 木田 秀一郎 平成16年10月14日発】 

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