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2004年上半期の豚肉需給(チリ)


  
1〜6月の豚肉生産量は前年同期比2.0%減 

  チリ農業省農業政策・調査局(ODEPA)によると、同国の2004年上半期の豚肉生産量(枝肉換算ベース)
は前年同期比2.0%減の17万8千トンとなった。この減少は年初におけるパッカーの生産調整によるもの
とみられる。一方で、1頭当たりの平均枝肉重量は主に日本などの輸入業者からの要求により改良が進
んだ結果から増加傾向にあり、1〜5月の平均は前年同期比1.8%増の94キログラムとなった。生産はほ
ぼ2州に集中しており、第6州が全生産量の7割、首都圏州が3割を占めている。2004年通年では、輸
出の増加から前年比5%増の38万3千トンが見込まれている。



日本向けは輸出額の7割を占める

  ここ数年のチリの豚肉輸出量の増加は著しく、FAOによる主要輸出国の一つに数えられている。ちなみ
に今年の主要輸出国にはチリのほかに、EU、カナダ、米国、ブラジル、中国、ポーランド、ハンガリ
ーが挙げられている。

  輸出量(冷蔵、冷凍。製品重量ベース)は96年は2,160トンであったが、2003年には61,600トンと飛躍
的に増加している。輸出先は多様で2003年は16カ国に達し、日本、韓国、メキシコ、EUが上位を占めた。

  2004年上半期については、前年同期比21.1%増の3万5千トン、輸出額は同43.0%増の1億400万ドル
(約113億円:1ドル=109円)となった。国別にみると、日本向けは前年同期を31.8%上回る2万トン、
輸出額は同44.9%増の7,129万ドル(77億円)と2003年に引き続き首位となり、全輸出額の68.3%を占め
ている。韓国向けは42.0%増の8千トン、輸出額は69.0%増の2,047万ドル(22億円)などとなっている。



FTA、衛生ステータスなどで優位に

  好調な輸出の要因として、チリが多くの国とFTAを締結していること、国際獣疫事務局(OIE)の重要
家畜疾病リストAにある口蹄疫、豚コレラの清浄国であることなどからほかの輸出国との競合において
優位な立場にあることが挙げられる。

  メキシコは年間30万トンの輸入を行っているが、同国へは FTA締結により、無関税での輸出が可能と
なっている。また、EUからは年間3,500トンの関税割当枠が与えられている。韓国との締結では、関
税撤廃期間を10年と設定している。2003年には総計で15万3千トンを輸入した韓国に対して、チリのシ
ェアは1万3千トン、輸出額で2,950万ドル(約32億円)という実績がある。

  また、カナダについても、カナダ食品検査庁(CFIA)が豚肉に係る検査システムおよび輸出証明書な
どを承認し、輸出を開始するための衛生関係プロセスが完了したことで、養鶏養豚生産者協会は「2005
年にはカナダへ2,000万ドル(約22億円)相当の豚肉を輸出する見込み」としている。

  なお、同協会ではEU向けの輸出について、7月時点で関税割当数量に達したため、枠外の輸出には
1トン当たり1,200ユーロの関税が課せられることが、輸出促進の妨げになるとして、政府に何らかの措
置を求める動きを見せている。

  一方、輸入については際立って少なく、上半期は394トンであった。主に加工向けとしてカナダが全
体の約8割を占めている。

  チリにおいては、今後も好調な輸出が続くものとみられるが、価格競争力のあるブラジルが衛生状況
の向上に努めていることから、チリとの競合も予想される。

  


【ブエノスアイレス駐在員 横打 友恵 平成16年9月8日発】 


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