ALIC/WEEKLY


チリ、2004年の牛肉需給動向を公表


牛肉の生産量が8年ぶりに増加 

  チリ農業省農業政策・調査局(ODEPA)は3月16日、2004年の牛肉需給動向と2005年の見通しを発
表した。
  
  これによると2004年の牛肉生産量は前年を8.6%上回る208,258トン(枝肉ベース)となっており、1997
年以後継続していた減少傾向が反転したとしている。この理由としてODEPAは、@近年、乳価が高値
を維持していることから酪農家がより妊娠頭数を増やしたこと、A輸出向け去勢肥育牛の取引価格が、米
国・カナダにおけるBSEの発生などにより上昇が見込まれたこと−と分析している。
  
  なお、と畜頭数は去勢肥育牛が58%を占め、経産雌牛が21%、若齢雌牛が16%となっており、前年と比
較すると去勢肥育牛が1%増、若齢雌牛が1%減となっている。

  ODEPAはと畜について、10年前は首都圏近郊で全体の50%が行われてきたが、2004年においては
33.7%と低下し、逆に主要飼養地域で首都から南下した位置にある第8〜10州でのと畜が47.4%になった
ことを特筆していた。その理由を質問したところ、インフラ整備が進んだためとの回答であった。



ブラジルからの輸入が80%以上を占める

  2004年の牛肉輸入量は対前年2.9%増の126,224トン(製品重量ベース)、輸入額は同18.8%増の2億
5,800万ドル(CIFベース、約276億円、1ドル=107円)となった。また1トン当たりの輸出価格は対
前年15.4%増の2,043ドル(約22万円)となっている。

  主要相手国はブラジルで輸入量の82%を占め、2位がアルゼンチンで11%、続いてウルグアイ4%、パ
ラグアイ3%とメルコスル各国からの輸入となっている。

  輸出は、最近3カ年と同様に増加傾向で推移し、輸出量は対前年40%増の9,021トン(製品重量ベース)
、輸出額は同50%増の約2,300万ドル(FOBベース、約25億円)となっている。なお、輸出額による国
別ランキングはメキシコ(49%)、日本およびキューバ(各々15%)、EU(6%)となっているが、1
トン当たりの輸出価格はEU向けが5,388ドル(約58万円)、日本が4,467ドル(約48万円)、メキシコが
2,473ドル(約26万円)となっている。

  なお、一人当たりの牛肉消費量は対前年4%増の25.1キログラムとなっている。



2005年も牛肉生産および輸出は好調と予測

  牛肉生産量は2004年と同じ理由によりと畜頭数が増加すると見込み約5%増の218,000トン、輸出量は
国際的な牛肉需要の高まりが本年も継続すると見込み、2004年の伸び率を上回る50%増の13,500トン、輸
入量は輸出量増加と一人当たりの消費量の増加(25.4キログラム)から128,000トンになるとODEPA
は予測している。

  なお、国際的な需要増加に伴う輸出価格の上昇を受け生体取引価格は上昇し、またブラジル、アルゼン
チンなどからの輸入価格も同じ理由により上昇すると見込まれるため、2005年は生産量が増加するものの
、国内価格は上昇するであろうと分析している。


 
◎アルゼンチン乳業部門、消費者価格の引き下げに合意

 3月22日、乳製品輸出会社で組織する団体(CIL)はアルゼンチン農牧水産食糧庁(SAGPyA)
と、国内向け乳製品の小売価格を値下げすることに合意した。これは本紙通巻第666号において、SAG
PyAが牛肉や鶏肉の小売価格を下げるため、各関係団体などの間で合意したことの一連である。

  具体的には乳業メーカー8社が、@ビニールパック入り牛乳を1.5%、A2種類の軟質チーズ(クアル
ティロロチーズ、クレモッソチーズ)を5%、B1リットルサイズのビニールパック入り飲むヨーグル
トを8%−値下げすることになっている。

  なおこの合意は、3月22日から150日間継続されることになっており、またCILとSAGPyAは本
合意に参加していない乳業メーカーに対して、共同で参加するように呼びかけるとしている。





【ブエノスアイレス駐在員 犬塚 明伸 平成17年3月30日発】 



元のページに戻る