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5施設の輸出認定を一時的に停止 ブラジル農務省(MAPA)が公表したコミュニケによると、ブラジルを訪問していた米国農務省の獣医ミッショ ン(以下「ミッション」とする)の食肉処理加工施設などの監査が4月14日に終了した。 ミッションは5週間にわたり、米国向けに加工牛肉を生産する16の食肉処理加工施設(以下「処理施設」と言う) を監査したとのことであり、この監査期間中にMAPAが5つの処理施設の輸出認定を一時停止したとのことであ る。またMAPAは、ミッション訪問後30日以内に規定に合致しない処理施設の輸出認定を一時的に停止する可能 性があることも併せて発表している。 なお、輸出許可を一時停止した理由としてMAPAは、「ミッションの監査期間中、製品の処理などに当たり相 手国と定めた規定が守られていなかったことが判明したため、通常業務の一環として対応したまでである」と、当 方の質問に回答している。 ミッションからの指摘事項 また現地では、ミッションが数カ所の処理施設の輸出認定を取り消したとの報道があったが、MAPAによれば、 「ミッションは輸出認定を取り消したわけではない。改正が必要な点を指摘したにすぎない」とのことで、指摘さ れた点は以下の内容とのことである。 @米国向け処理施設の監査について、二国間の規定により、毎月、州に配属されたMAPAの技官が監査すること が定められているが、これが守られていない事例が見られたこと Aまた同規定では、従業員に対して継続的に衛生に関するトレーニングを実施することを義務付けているが、これ を実施したことが証明できなかったこと Bホルモン製剤の残留検査にブラジルでは尿を用いるが、米国では肝臓を用いて実施していること 2005年の家畜衛生対策予算の削減を懸念 一方、ミッションの監査期間中に、2005年の家畜衛生対策に投入可能とする予算額が発表され、MAPAの1億 6,900万レアル(約70億円:1レアル=41.5円)の要求額に対し、3,700万レアル(約15億円)となった。2004年の 予算額は1億1,271万レアル(約47億円)であり、実際には9,175万レアル(約38億円)が投入されていることを考 えれば、大きく削減されたことになる。 これに対し現地では、「ミッションが監査している最中にこのような発表があったことについて、加工牛肉輸出 に与える影響を憂慮するとともに、今後の生鮮牛肉の輸出交渉にも影響を与えかねない」と懸念する声が報じられ ている。 これに対しMAPAは、「予算の減額は大統領令によるもので、MAPAに限ったことではない。今後、どうな るかははっきりとは言えないが、3,400万レアル(約14億円)を追加投入することが検討されている」と回答して いる。 ロドリゲス農相、ジョハンズ長官と会談へ なお、4月20日にはロドリゲス農相がジョハンズ米国農務長官と会談し、今回のミッションが作成するレポート について議論することをMAPAはコミュニケを通して発表している。 これについてMAPAは、「ミッションが指摘した事項については対応済みまたは対応中である。そして対応が 完了した事項については直ちに米国側へ報告していることから、最終レポートがどのような結果になるか予断を許 さないが、影響を最小限に抑えるべく、最善の努力をしている」と回答した。 【ブエノスアイレス駐在員 犬塚 明伸 平成17年4月19日発】
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