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イギリス食品基準庁、BSE検査体制への移行を勧告


検査体制は信頼できるものに進展

  イギリス食品基準庁(FSA)の理事会(Board)は8月15日、30カ月齢超(Over thirty Months:OTM)
の牛の肉を食用として流通させる前に実施する、BSE検査の体制が信頼できるものであるという旨の勧告
を保健大臣など関係する大臣に行うことに合意した。

 イギリスでは、BSE患畜の発生が減少していることなどから、昨年12月、BSE対策の一つとして実施
しているOTMの牛の処分対策について、その終了に向けた移行期間の開始とOTMの牛のBSE検査を、
サンプル調査からほかのEU加盟国と同様のBSE検査に切り替えることなどを公表していた。

 また、イギリス国内の多くのと畜場が実施するBSE検査の試行結果について、FSAが設置した独立の
諮問グループが、FSAに対し、勧告することとなっており、これに基づき、FSAは関係する大臣に勧告
を行うことになっていた。(海外駐在員情報第664号参照)



対策変更前に満たすべき要件も勧告

  理事会は今回の助言に合意するに当たって、@BSE検査の試行結果に係る独立した諮問グループからの
報告、A欧州委員会の食品獣医局(FVO)が本年実施したイギリスのBSE対策に対する査察結果が満足
できるものであったこと、BFSAが実施した一連の公聴会の結果 ―について検討を行った。

 また、FSAの理事会はBSE検査体制についての勧告とともに、対策変更前に満たすべき要件を勧告す
ることについても合意しており、その概要は以下のとおり。

@新たに行うBSE検査に対する助言などを行う機関を設立すること

AOTMの牛のと畜・加工に係る要件を満たす施設の数が十分な状況となるまでは、BSE検査と並行して
 OTMの牛の処分対策を継続すること

B緊急と畜に係る規則についての手引書を配布すること

C食肉衛生局(MHS)は、OTMの牛を加工する施設について、加工業務開始後2日間およびそれ以降も
 定期的に立ち入り検査を実施すること

D96年8月以前に生まれた牛の肉を食用とすることが違反となる規則を施行すること



生産者団体は輸出制限措置の解除を要求

 FSAの合意について、全国農業者連盟(NFU)は、10年間続いた貿易制限という足かせを投げ捨てる
ことができると歓迎する一方、この日の勧告の内容をイギリス政府が早急に実施すること、イギリスの農家
がEUという単一市場で再び競争できるよう、イギリス産牛肉に対する輸出規制措置を欧州委員会がすぐに
解除することを要求するとしている。



◎オランダ、屋外での家きん飼養を禁止

  オランダ農業・自然・食品品質省は8月22日、鳥インフルエンザ対策として、同日以降、農家が家きんを
屋外で飼養することを禁止する措置を実施すると公表した。なお、農家は家きんを小屋に閉じ込める代わり
に、動物福祉上の問題発生防止の観点から、防鳥対策が講じられている収容施設を別に設置してもよいとし
ている。

 今回の措置は、独立した獣医、生物学者および農業の専門家から構成されている委員会からの勧告に基づ
くものであるとしている。

 また、鳥インフルエンザウイルスは、生きた鳥、家きん肉および家きん製品の輸入や旅行者などによって
運ばれる場合があり、その中でも生きた鳥の輸入によるものが最も可能性が高いとしている。また、委員会
は、渡り鳥によって運ばれる可能性も同様にあり得ると指摘している。


【ブリュッセル駐在員 関 将弘 平成17年8月24日発 】


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