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ベトナムの食肉供給量、2004年も増加


2004年畜産・獣医薬全国会議

  昨年12月8日と9日、ベトナムの首都ハノイにおいて「2004年、畜産・獣医薬全国会議」が開催された。
この会議は、農業・農村開発省(MARD)が主催し、全国の畜産関係者が一堂に集まり、これまでの活動
に関する成果や研究に関する情報の交換などを目的としたものである。会議では、バイオ技術、繁殖、家畜
栄養および獣医薬に関する190件に及ぶ報告がなされた。また、畜産の工業化と近代化についての議論がな
された。


2004年の食肉供給量は8%の増加

  この中で、MARDは、表のとおり2004年の食肉供給に関して、250万トン(生体ベース)の供給が見込ま
れ、前年の230万トンに比較して約8%の増加になると発表した。2000年〜2004年の平均の増加率では約7%
となっており、増加傾向を維持している。

 食肉供給量のうち豚肉が全体の8割を占め、約200万トンとなっている。ベトナムでは豚は伝統的に小規模
農家を中心に豚が飼養されてきたが、近年は大規模化などにより生産が増加し、2004年の見込みでは、前年
比で12%増と大きく伸びている。また、食肉供給量の7%を占める牛肉(水牛を含む。)も10%の伸びとな
っている。

 一方、昨年までは食肉供給量の16%を占めていた家きん肉は、2004年の年初に発生が確認された鳥インフル
エンザなどの影響により、食肉供給量に占める割合が12%台に減少し、食肉供給量としては15%減少した。


豚の飼養頭数は微増

 一方、家畜の飼養頭羽数の推移を見ると、豚の飼養頭数は2004年で2,614万頭となっており、前年比で約3
%の増加となっている。肉牛および水牛では、水牛の頭数が287万頭と頭打ちになっているものの、肉牛は10
%を超える伸びの491万頭となっている。また、乳牛は頭数は少ないものの、20%近い増加の9万6千頭とな
っている。

 家きんについては、鳥インフルエンザなどの影響で14%の減の約2億2千万羽となっている。



継続する鳥インフルエンザ

  同国における鳥インフルエンザは、一時終息が期待されたが、昨年7月に再発が報告され、直近では12月
24日にも南部のメコンデルタを中心に発生が報告されており、また、同30日には新たな感染者も確認されて
いる。これまで同国では鳥インフルエンザによる21人の死亡が報告されており、衛生当局は監視体制を強化
しているが、散発的な発生が継続している。

 また、今後の懸念としては、2月上旬に旧正月を控えており、この時期を中心に人の移動や食肉消費の増
加に伴う家きんの移動が活発化することにより、寒冷な季節も手伝って、発生の危険が増大することである。
家きん肉の食肉供給量に占める割合は1割強と比較的小さいものの、鳥インフルエンザの継続は、畜産関係
のみならず、経済全体への影響が懸念され、1日も早い清浄化が望まれている。





【シンガポール駐在員 斎藤 孝宏 平成17年1月5日発】 

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