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豪州肉牛協議会、2005年の生産見通しは良好と予測


肉牛生産は増加、生産者収益も改善

  豪州肉牛協議会(CCA)はこのほど、2005年の肉牛生産見通しを発表した。これによると、2005年の肉
牛生産は、豪ドル高で推移する最近の為替や主要輸出市場における米国産牛肉の輸入再開時期などの影響が
あるとみられるものの引き続き堅調に推移し、また、肉牛生産者の収益についても、好調な肉牛価格を反映
し、さらに改善が進むものと予測している。
 
 CCAでは、2004年の牛肉輸出状況について、米国でのBSE発生に伴う豪州産牛肉の需要増を受けて日
本向け輸出などが好調であったことから、前年比で輸出額が9%、数量で18%増加したとしている。この結
果、干ばつの影響などにより不振にあえいだ肉牛生産者は、収益が大幅に改善された。

 また、2005年の国内の牛肉生産については、@02/03年度の干ばつにより減少した肉牛の飼養頭数が順調
に回復していること、A最近の肉牛価格の上昇が肉牛生産者の生産意欲を高めていること、B天候要因によ
る飼育環境の改善により枝肉重量が増加していること−などの要因により順調に推移するものとみている。

 肉牛生産者は収益改善に伴い設備投資を拡大させていることも、肉牛生産に大きく寄与している。



対日向け輸出、前年水準以上を期待

 一方、牛肉需要についてCCAでは、好調な豪州経済を反映し国内消費は引き続き、前年以上の水準で推
移するとしている。

 輸出面では、主要輸出先である日本市場について、輸入条件などから早急に米国産牛肉を相当量輸入する
ことは難しいと見込まれるため、豪州にとって引き続き好調な輸出が期待できるとしている。

 さらに、韓国市場については、最近の輸出価格の上昇による豪州産牛肉への需要停滞から大幅な輸出増は
見込めないものの、米国産牛肉の輸入停止を受けて引き続き輸出は堅調に推移するとしている。

 また、米国向け輸出についても、米国内の牛肉生産が減少傾向にある中で、豪州産チルドビーフへの需要
が高まっており、価格、数量ともに前年を上回るとしている。ただし、関税割当については、輸出余力の面
から05年についても引き続き上限数量に達しないと予測している。



米国産牛肉の輸出再開などを注視

 このように2005年の肉牛生産は、国内消費の伸びや、堅調な輸出需要に支えられて好調が予測されている。
しかしながら、これに影響を与える要因として、@日本市場における米国産牛肉輸出再開の時期、A豪ドル
高で推移する為替動向、BBSE問題、C口蹄疫撲滅後の輸入解禁によるブラジルとの競合−などが挙げら
れる。

 CCAでは、今後想定される米国やブラジルとの競合を念頭に、全国家畜個体識別制度(NLIS)の強
化や疾病管理、販売促進のための課徴金の引き上げなどへの取り組みを挙げ、中長期的な目標としての取り
組みを検討している。



◎ 2004年の牛肉輸出、過去最高水準に

 豪州食肉家畜生産者事業団(MLA)は1月14日、2004年の牛肉輸出量が前年比9%増の91万4千トンと
過去最高水準を記録したことを明らかにした。MLAによれば、このうち対日向けが前年比41%増の39万3
千トン、韓国向けが同50%増の9万3千トンといずれも大幅に増加したのに対し、米国向けは同5%減の35
万トンと過去5年間で最低の水準となり、関税割当数量には達しなかった。なお、対日向けのうち、フィー
ドロットからの出荷が前年比55%増の17万2千トンと目立っている。


  
【シドニー駐在員 横田 徹 平成17年1月17日発】 
 
 
 

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