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肉牛価格の上昇が収支改善のけん引 豪州農業資源経済局(ABARE)は6月末、最新の牛肉産業に関する調査結果を発表した。これによると、 2004/05年度の肉牛飼養頭数は、肉牛価格の高騰や干ばつ化の懸念などを背景に出荷頭数が増えたことから、当 初見込みより減少するものの、農家経営については、販売価格の上昇と生産コストの減少により大幅な収支の 改善を見込んでいる。調査結果の概要は次のとおり。 と畜頭数の増加で牛飼養頭数は微増に 2004/05年度の肉牛飼養頭数についてABAREでは、当初見込みより30万頭少ない前年度比0.4%増の2,420 万頭としている。 国内の肉牛生産者は、2002/03年度の大規模な干ばつによる大幅な飼養頭数の減少を受けて、牛群再構築に 向けた動きをみせており、2004/05年度の雌牛と畜頭数を見ると、2005年3月末時点で全体の約46%と前年同時 期比で4ポイント減少している。 しかし一方で、豪州産牛肉の輸出需要増を背景とした肉牛価格の上昇と、クイーンズランド州、ニューサウ スウェールズ州など東部地域での干ばつの広がりにより、肉牛出荷が促進されたことが、当初見込みより飼養 頭数を減らす要因となった。また、穀物肥育牛肉に対する国内外からの強い需要と飼料価格が比較的安価で推 移したことで、フィードロットからの出荷頭数が増加していることも、肉牛飼養頭数の減少を加速する結果と なっている。
肉牛農家の経営は大幅な改善 2004/05年度の農家経営について肉牛生産の主体となる肉牛専業農家でみると、1農場当たりの事業損益は 平均で29,000豪ドル(約250万円:1豪ドル=86円)の収益を見込んでいる。2002/03年度の干ばつ時には、平 均で43,000豪ドル(約370万円)を超える損失を計上しただけに、肉牛専業農家にとって大きな改善となった。 肉牛専業経営の収支推移 (単位:豪ドル)
区分 | 2002/03 | 2003/04 | 2004/05 |
現金収入 | 384,300 | 404,200 | 393,000 |
現金支出 | 318,940 | 331,700 | 292,000 |
現金所得 | 65,360 | 72,600 | 101,000 |
事業損益 | ▲43,030 | ▲5,000 | 29,000 |
大幅な経営改善となった結果についてABAREでは、2003/04年度以降、2002/03年度の干ばつにより落ち 込んだ飼養頭数の回復に肉牛農家が積極的に取り組んだことで、年度当初から一定の頭数が確保できていたこ とを挙げている。また、豪州産牛肉の需要増に伴い肉牛価格が高値で推移したこと、飼料価格の引き下げによ る生産コストの減少などが収益の改善に大きく寄与している。 ◎干ばつの懸念は沈静化、肉牛価格は再び上昇に 干ばつの広がりが懸念された東部州では、6月中旬からのまとまった降雨により、牧草の生育状況は改善に 向かいつつある。また、上昇していた飼料価格も、冬穀物の種付け時期に間に合ったことで、今後、一定量の 収量が期待できることから値を下げてきている。一方、早期出荷の増加などで値を下げていた肉牛価格は、6 月中旬を底に再び上げに転じている。これは、@肉牛生産者の早期出荷が一段落したことに併せ牧草生育への 期待が高まっていること、A降雨により肉牛の集出荷が停滞していること−などの要因で出荷頭数が減少し、 価格上昇に結びついているとみられている。冬場を迎え、一部生産地では出荷の停滞時期となることから、出 荷頭数のさらなる絞込みも予想されている。
【シドニー駐在員 横田 徹 平成17年6月30日発】
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