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アルゼンチン農牧庁、ヒルトン枠の直接的な配分権限を手放す


SAGPyA長官、権限移譲の決議にサイン 

 アルゼンチン農牧水産食糧庁(SAGPyA)が5月26日に公表したプレスリリースによれば、カンポス同長
官は、同庁が所有していたヒルトン枠のパッカーへの配分権限などを国立農牧取引管理事業団(ONCCA)へ
移譲することを定めた決議第394/2005号に署名した。

  アルゼンチンはEUから一定基準を満たす骨なし高級生鮮牛肉に関する関税割当制度(通称ヒルトン枠)によ
り1カ年28,000トンを割り当てられているが、国内の食肉パッカーへの配分方法および数量はSAGPyAが決
定してきた。

  しかし、利幅の大きいヒルトン枠を獲得するため食肉パッカーが訴訟を起こすなど問題が絶えず(本紙通巻第
648号などを参照)、また最近では配分数量をめぐり不正があったとして、カンポス長官などは訴えられていた。



ONCCAがすべてを管理する方向へ

  当プレスリリースによれば、今後ONCCAはヒルトン枠の全体管理、配分方法、割当数量を決定し、かつ従
来の業務であったヒルトン枠に適合した食肉カットであるかの管理も引き続き実施することになる。ONCCA
は組織上、SAGPyAに属しているが、食肉パッカーの脱税防止を目的に設立された独立性の強い機関であり、
今回の改正ではその機関にヒルトン枠に関するすべての手続きを集中させることになる。なおSAGPyAは今
後、委員会を組織し、それによりONCCAを総合的に管理する予定である。

  また、カンポス長官は今回の措置について、「ヒルトン枠の基準に適合する食肉カットであるか否かについて
ONCCAは、1年以上もEUから何らの指摘を受けることもなく業務を遂行してきており、またEU向け製品
の品質管理および追跡性の保証について、EUから評価されているところである。今回の権限移譲により、効率
性や透明性が一層増すことになるであろう」としている。

  なお、ONCCAに権限移譲の具体的内容の説明を求めたところ、「決議に長官の署名はされたもののまだ公
布されていないため、詳細は回答できない」とのことであり、ヒルトン枠をめぐる混乱が、本当に収束していく
のか注目される。



◎ブラジル、口蹄疫ワクチン接種清浄地域が拡大

 ブラジル農務省(MAPA)が5月30日に公表したところによると、5月22日から開催されていた第73回国際
獣疫事務局(OIE)総会において、ブラジルの口蹄疫ワクチン接種清浄地域(以下「接種清浄地域」とする)
が拡大された。

  今回、接種清浄地域として認められたのは、北部畜産圏のアクレ州およびそれに隣接するアマゾナス州のグア
ジャラーおよびボガドアクレの2郡である。ブラジルがこれまでOIEから承認された接種清浄地域は14州およ
び連邦区であったが、今回の承認で15州となった。またアマゾン流域にある北部畜産圏ではロンドニア州に続い
て2番目となる。

  ブラジル地理統計院(IBGE)によれば、2003年の牛飼養頭数は1億9,555万頭で、今回接種清浄地域とな
ったアクレ州は187万頭と畜産主要地域ではないものの、15州および連邦区で全体の85.2%に当たる1億6,660万
頭が接種清浄地域で飼養されることになった。

  なお、その他の南米地域ではコロンビアの中央地域(10県に関係する地域)および南部地域(5県に関係する
地域)が接種清浄地域に、またペルーでは10州で構成する南部地方が口蹄疫ワクチン不接種清浄地域として承認
されている。





【ブエノスアイレス駐在員 犬塚 明伸 平成17年6月1日発】 



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