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EU、農業におけるリスクおよび危機の管理手法を提案


新たな手法を提案 

  欧州委員会は3月9日、各加盟国およびEUレベルで利用可能なリスクおよび危機の管理手法に関す
る提案を承認した。当該提案は、EUにおける農家が行うリスク管理と農業分野における危機への対応
を改善する新たな措置の可能性を考察したものである。

  新たな手法として@農業保険、A互助基金、B収入補償について提案しており、欧州委員会は、危機
管理のための既存の緊急的な措置の一部または全面置き換えなどの観点から、農相理事会や、欧州議会
など幅広い関係者と今後、議論することとしている。



新たな手法の概要

  新たな手法の概要は以下のとおり、

@農業保険

 自然災害やきわめて厳しい気象条件や家畜疾病に備えた保険の農家負担(保険料)への支援。(民間
における農業保険の発展のために、再保険についても同時に検討を行う。)

A互助基金

 分野別ではなく、農業全体の収入減少に対する共通の危機管理手法として発展させる観点から、農業
全体を対象とする基金の運営に対する、一時的および逓減的な支援。

B収入補償

 収入減の際に収入の補償を行う品目横断的な新たな仕組み。



CAP改革が発端

  2003年6月に合意に至った共通農業政策(CAP)の改革は、欧州の農業者がより市場志向となるこ
とを促進するものである。また、従来のCAPが実施してきた農産物価格の安定化対策を、2005年から
は生産と切り離した単一の直接支払いに変更したことから、自然災害、家畜疾病や害虫または経済情勢
によっては、農業経営が危機にさらされ、さらに、農村地域全体の経済的安定が影響を受ける可能性が
ある。このようなことから、欧州委員会は2003年6月のCAP改革合意時に、農業におけるリスク、危
機および自然災害に対するための特定の措置を検討し報告することを発表していた。



WTOのグリーンボックス要件にも配慮

  欧州委員会は、このような新たな手法を提案する目的は、農業経営が一時的な損害に耐えるとともに、
自らの活動を展開させるための資金の融通を改善することであるとしている。また、新たな措置はいず
れも改革されたCAPの原則に沿ったものであり、WTOの緑の政策(グリーンボックス)の要件に従
ったものとなるとしている。

  なお、このような新たな措置に要する財源は、モジュレーション(減額調整措置)によって生じる財
源の一部を充てることとしている。
 
  提案の公表に際して、欧州委員会のフィッシャー・ボエル委員(農業・農村地域担当)は、「企業家
として農家は、農場経営を行う上で生じる生産と価格についてのリスクに責任を取らなければならない。
しかしながら農家は、リスクと危機の管理に関する適切な手法を利用できるべきである」とコメントし
ている。





【ブリュッセル駐在員 関 将弘 平成17年3月23日発】 



  

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