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フィードロット飼養頭数、最高記録を更新(豪州)


飼養頭数85万頭、昨年12月末から14%増

  豪州フィードロット協会(ALFA)は5月9日、豪州食肉家畜生産者事業団(MLA)との共同調査による四
半期ごとの全国フィードロット飼養頭数調査結果を発表した。これによると、2005年3月末時点の総飼養頭数は85
万6千頭にまで増加し、2004年9月末に記録した75万8千頭を大幅に上回り、過去最高の飼養頭数となった。





北米のBSEのほか干ばつの影響も

  飼養頭数の増加要因について、ALFAのマコノーチ会長は、北米でのBSE発生の影響だけでなく、豪州全土
で再び拡大しつつある干ばつの影響も指摘している。干ばつになると牧草が不足するため、フィードロットで飼養
する頭数が増加する傾向があるためである。

  フィードロット飼養頭数を州別にみると、フィードロットが集中するクインズランド(QLD)州で初めて40万
頭を超え41万1千頭に、ニューサウスウェールズ(NSW)州でも30万7千頭と、初めて30万頭を超えた。



日本向け約52万頭、韓国向け約4万頭
  
  飼養頭数を仕向け先別にみると、輸出向け飼養頭数は57万7千頭でフィードロット全体の67%となり前期比で1
ポイント上昇した。一方、国内向けは25万6千頭で同30%と2ポイント減少した。

  輸出先別では、日本向けが前期比22%増の51万9千頭、韓国向けが同11%増の3万9千頭と、いずれも過去最高
を記録した。

  なお、仕向け先が未確定の「その他向け」が大幅に増加したが、これは干ばつの影響により導入されたものとみ
られる。



収容能力、稼働率とも過去最高

  また、フィードロットの収容可能頭数は、全体で99万5千頭と前期比で2.9%増加し、稼働率も前期比8ポイン
ト増の86%と過去最高を記録した。



輸出価格も好調、懸念は飼料穀物価格の上昇

  フィードロットで肥育されたグレインフェッド牛肉の日本向け輸出状況は、2005年の第1四半期では4万4千ト
ン(船積みベース)と昨年同期を25%上回った。4月の輸出量も1万6千トンと、同月では過去最高を記録してい
る。同時期の韓国向けグレインフェッド牛肉の輸出数量も同様に過去最高を記録している。

  一方、日本向けチルドショートフェッドフルセットの3月のFOB価格は、平均でキログラム当たり638豪セン
ト(536円:1豪ドル=84円)と前年同月比8%増加している。3月の肥育素牛(去勢牛)の平均価格も生体価格
で前年同月比17%増のキログラム当たり199セント(167円)となっている。

  現在の差し迫った懸念材料は、干ばつによる飼料穀物価格の上昇である。ソルガムの4月の平均価格はトン当
たり161豪ドル(13,524円)で3月の151豪ドルに(12,684円)比べ10豪ドル(840円)値上がりし、5月の第1週
には181豪ドル(15,204円)まで上昇している。同様に飼料用大麦も3月がトン当たり170豪ドル(14,280円)、4
月が176豪ドル(14,784円)、5月の第1週では190豪ドル(15,960円)と大幅に増加してきている。

  干ばつについては、豪州気象局によると4月は、豪州の広範囲で平均を大きく下回る雨量と記録的な高温となっ
た。特に豪州の北部や中央部の多くの地域では4月に雨がまったく降らず、懸念が高まっている。



【シドニー駐在員 井上 敦司 平成17年5月9日発】  
 

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